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「来年度価格は、入札結果をふまえ慎重に決めるべき」

調達価格等算定委員会委員 名古屋大学大学院環境学研究科 髙村ゆかり教授

出力10kW以上2MW未満の太陽光発電の買取り価格には、今年11月に公開される入札の結果が少なからず影響するかもしれない。応札価格がかなり低ければ、コスト低減の余地があるという証拠になるし、入札に参加した企業が提示した価格から建設費などコストが下がっている全体的な傾向が掴めれば、買取り価格を下げる方向で話が進む可能性もある。ただし、2MW以上と2MW未満の発電所ではコスト構造が異なることもありうるため、慎重に議論する必要がある。

今回の入札制度に関してまず気になっているのは、入札を実施する2MW以上の太陽光発電所が(募集容量の)500MWを超えるほど、十分な入札があるかどうかだ。先行して入札制度を導入した海外では募集枠に達しなかった例もある。入札による価格低減の効果がなければ、入札制度自体、必要かどうかという議論にもなる。

諸外国の例を見ると、入札制度が必ずコストを下げるとは限らないので、試行期間の2年間の経験、実績をよく見て、結果次第では入札をやめることも含めて適切な運用方法を検討していくべきだと思う。

当面の委員会では、バイオマス発電に関する議論が大きな議題になっている。バイオマス発電は、太陽光など他の発電と異なり、燃料費が発電コストの大きな割合を占める。安定的な燃料調達など事業継続性を確保した事業かどうか、燃料別の費用構造を明確にし、過剰な利益を生む買取価格になっていないか、など精査すべき。

また、小型風力発電は、費用効率的な再生可能エネルギーの導入という観点から、今後も発電コストを低減できる余地があるのかどうか、立地問題も含めて論点の1つだろう。

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