滋賀・大津市、太陽光発電所建設の規制強化へ
条例制定に向け意見聴取開始
11月議会を経て条例制定へ
意見聴取会は、各専門分野の学識者5名と副市長、市役所職員4名を合わせた9名の委員で構成されている。
業界団体として唯一参加しているのは太陽光発電協会であるが、7月5日の意見聴取会は欠席。その他、景観・環境分野の専門委員である大学教授も2名欠席しており、外部委員の参加は2名のみだった。
大津市未来まちづくり部まちづくり課計画課の古山精一主査は、「28年2月議会の一般質問で『太陽光発電所の設置に関して市としてどういう取り組みを行うのか』という意見があった。防災、自然環境保全、住環境保全、事前周知が条例制定の目的」と経緯を説明した。
だが、意見聴取会では、委員の一人であるあさひパートナーズ法律事務所の谷川直人弁護士から、「立法事実がないにもかかわらず規制を強化すると過度な規制になる。周辺住民との利害関係も重要だが、規制を強める場合は、それに見合った立法事実を調べ、国の制度の連携も考えて進めなければならない」という意見も出ていた。
大津市は、規定の太陽光発電所に対して景観保全や生活環境保全の観点からフェンスや植栽での目隠しを義務付ける方針だが、これに対し、ある発電事業者は、「400kWの太陽光発電所を大津市で建設する予定だったが、目隠しできるフェンスを建てる必要があり、1200万円追加費用がかかると分かった。24円案件だったこともあり、建設を断念した」と話す。
国策として再生可能エネルギーの普及促進を図る法律が存在する一方で、地方自治体の条例が普及の妨げになっては困りものだ。むろん発電事業者が周辺住民の安全や生活環境に充分配慮するのは当然であるが、規制強化については、慎重に議論すべきであろう。
大津市は、意見公募を行った後、9月開催予定の意見聴取会を最後に11月の議会で最終的な条例を提出する方向だ。可決されれば、18年4月には同条例が施行されることになる。