キュートーシステムに訪販停止命令
キュートー、訪販から撤退
キュートーシステムは、「事業の大胆な転換を図る」として、業務停止命令を受ける1ヵ月前の1月30日、個人宅への訪問営業活動を終了した。3月24日に更新された同社のホームページで、キュートーグループの佐藤峰雄CEOは、「訪問販売は自主的に停止した。6ヵ月の停止期間を示されたが再開の予定はない」とし、「機器の修理はメーカーと補償会社との連携を今まで通り行い、施工の修理・補償は施工会社キュートーファシリティーズが行う」としている。
では、キュートーシステムはなぜ違反行為に手を染めてしまったのだろうか。
太陽光業界の関係者からは、「以前からかなり強引な営業をしていた」という声もあるが、消費生活センターによると同社に関する相談は、2014年4月から17年2月15日までに、大阪26件、愛知県23件、埼玉県22件、千葉県20件、北海道18件など29都道府県で計238件に達している。本拠地の福岡県以外でも相談が寄せられている。
この事実に基づけば、同社の違反行為は14年以降表面化していったようにも思えるが、かつて同社の工事部に勤めていたA氏の証言から推察すると、11年頃から営業手法に問題があったことが伺える。A氏は当時の状況をこう話した。
「私がキュートーシステムに在籍していたのは11年頃までだが、当時から、年商100億円、株式上場を目指して営業活動にかなり力を入れていた。ノルマは厳しく、成績の悪い社員は本社に呼び出されて檄を飛ばされていた。そんな社風ゆえ、辞めるものも多かったが、なかには成果を上げて月給300万円の高給取りもいれば、新卒入社で支店長になるものもいた」。
典型的な営業会社で成果報酬の給与体系を導入していたのだろう。むろん、ここまでは違反ではない。だが、A氏の話をさらに聞くと、同社の太陽光発電設備の営業社員は当時から「メンテナンスに来た」と嘯いて訪問販売していたようだ。
「当時は、何の知識もない太陽光発電の営業マンがメンテナンス部という部署に所属して太陽光発電を売っていた。メンテナンス部とは名ばかりで、実態は太陽光発電の営業マンの集まりだった」とA氏は明かす。
さらにA氏は、「営業社員にとって、1回契約した客は『お客』ではなく『顧客』。幹部から『顧客』はカネを生まないという考えを植えつけられ、同じ客に何度も会う暇があったら次の契約を取ってこいといわれていた」と証言する。
同社の2017年1月期の売上高はグループ全体で約100億円。当初の目標は達成できたようだが、肝心の信頼を失ってしまった。今後業務転換を図るというが、果たして信頼を取り戻せるのだろうか。
太陽光関係の訪問販売事業者が消費者庁から業務停止命令処分を受けるのは今回が初めて。「同業者の法令違反があると、金融機関の与信管理が厳しくなる」(太陽光発電設備の訪問販売事業者)など、業界への影響を不安視する声もある。
訪問販売を主体とする販売会社は、今一度、襟元を正してほしい。