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自然電力、東ガスと資本業務提携

─その真意を聞く─

再エネ関連事業を手掛ける自然電力が2月23日、東京ガスとの資本業務提携を発表した。再エネを推進するベンチャーの旗手がなぜ都市ガス最大手と組んだのか。自然電力の代表取締役の1人である川戸健司氏にその真意を聞いた。(本誌・楓崇志)

──東京ガスと資本業務提携した狙いは。

我々は創業時に20年計画を策定し、5年単位でステージを設定した。最初の5年を終え、ステージ2が始まるのがちょうど昨年だった。ステージ1はあくまでベンチャー企業として生き残ることを大前提に、再エネに真摯に取組んできた。

我々はこれまでに2つのパートナーシップを結んだ。まず我々が再エネのプロになるためにユーイと組んだ。もう1つがケネディクス。我々が手掛けるインフラ事業は資金力が必要。そこでファンド事業やAM(アセットマネジメント)を学ぼうと思い、パートナーシップを組ませていただいた。

では、次のステージでどういうパートナーシップを結ぶべきか。再エネに限らない、エネルギーという枠組みで捉えた時にエネルギーカンパニーとして先を行く会社と組みたいと考えた。

 

──東京ガスは旧来の化石エネルギーを主とする企業で、再エネを積極的に推進しているような印象は受けない。

複数の会社と話したわけではないが、彼らはより長期的な視野を持たれていると感じた。2050年や2100年というワードが頻繁に出てくる。最初にお会いした際にその話を聞き、ぜひ組みたいと思った。それに「チャレンジ2020ビジョン」に示されている通り、再エネを推進されており、誰かとパートナーシップを組みたいということで我々を選んでいただいた。

 

──なぜ資本出資まで受け入れたのか。

我々が出資を受けるのは数%という非常に低い比率。関連会社にもならないし、拒否権なども一切ない。

我々の最大の狙いは信用力。インフラ企業になるために、非常にこだわりを持った長期的な目線を重視する一方で、一つひとつのビジネスの単位が数十、数百億の世界になってきている。そのギャップがどうしてもある。ベンチャー企業でこだわりを持ち続けても、そのお金が準備できなければ、絵に描いた餅で終わる。

ケネディクスと提携し、プロジェクトの融資はできるようになった。あとは会社自体の信用力を上げるにはどうすればいいか。そこで一部資本を持っていただけるパートナーを探そうというのが発端だった。

この信用力はステージ2の間に必要になる。投資という意味でもそうだし、新しい事業を始めるほか、新たな地域に行くうえでも、重要な要素となるはずだ。

 

──資本出資を受けても、これまでと何も変わらない?

はい。逆に我々がこれまで培ってきた実績や経験をそのまま活かしてほしいと言われている。我々はこれまで通りやらせていただく。再エネは世界のエネルギーのなかで、より重要なポーションを占めていくはず。それをやり続けていきたい。

 

──業務提携の内容は。

いったんは太陽光発電事業のみの提携で、期間は2022年までの5年間。約60MWが当面の目標。まだ稼働していない案件が対象だ。共同開発、共同事業でやっていく前提だが、基本的に発電事業者は東京ガス。我々は開発やEPC、O&M、AMを担う。

 

──どんな会社を目指すのか。

電力については、電源間のバランスや中長期的に必要な電力量まで考えたとき、特定のパートしか知らなければ日本に最適な形を判断できない。実際に我々がやるかどうかは別として、全体像を理解したうえで提案できる会社になるべきだ。今回の提携でその大きな視野を持ちたい。

ステージ2の5年では太陽光以外の再エネ電源と海外事業にも力を注ぐ。海外は本質的には無電化地域に電気を届けることになる。必要性がより高いのはそういう地域に生きる人だからだ。この2つは全てをやるのは難しい。今年中にフォーカスを決めるだろう。

会社としては、多様なビジネスモデルをつくる。例えば太陽光だと、開発やEPCは一時的な収益を稼ぎ、O&MやAMは長期的な収益源となり得る。ステージ2の後半にはステージ3の準備が始まる。そのときには今回のパートナーシップが効いてくるはずだ。

自然電力の川戸健司氏

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