東芝、大和、CO2OSが太陽光分野で業務提携
発電所開発から発電業務まで展開
東芝ESSと大和証券グループの大和エナジー、CO2OSがこのほど、太陽光発電分野で業務提携した。太陽光発電所の開発からO&Mや発電業務まで事業領域を拡げる。(本誌・楓崇志)
東芝エネルギーシステムズ(=東芝ESS)と大和証券グループの大和エナジー・インフラ(=DEI)及びCO2OSは2023年8月24日、太陽光発電に関する業務提携契約を締結したと発表した。各社の経営資源を持ち寄り、太陽光発電所の開発からEPC(設計・調達・建設)やO&M(管理・保守)のほか、再生可能エネルギー発電業務代行まで一貫して提供する体制を築く狙いだ。
今回の提携は、21年7月に東芝ESSと旧CO2Oが太陽光発電所のO&Mに関する業務提携に向け、覚書を交わしたことが始まり。当初はO&Mに限定した提携を想定していたが、22年10月頃にDEIを加えた3社間提携を検討し、23年7月末に契約締結に至った。
もっとも、3社は22年5月に鹿児島県のFIP(フィード・イン・プレミアム制度)を用いた太陽光発電事業で協業したほか、23年5月にはDEIがCO2Oの人員を含めた国内事業を承継し、CO2OSを創設していた。
東芝ESSエネルギーアグリゲーション事業部再生可能エネルギー技術部の濱口泰典シニアマネージャーは、「3社間で信頼関係を深めていたので、O&Mにとどまらない提携に発展した」と振り返れば、CO2OS事業企画推進室長の森本晃弘営業部長は、「3社による提携に拡大したことで内容に深みが増した」と語る。
実際、大和証券グループで再エネ発電事業を展開するDEIが加わったことで、FIPを含む〝非FIT〟太陽光発電所の再エネ発電業務代行だけでなく、資金調達も含め、開発からO&Mまでサービスを拡げることができたわけだ。今回の提携を経て、3社は太陽光発電所の新規開発で協業しつつO&M体制を強化する。
具体的には、隣接する複数の太陽光発電所を一括管理する群管理を進めるほか、稼働済み発電所にはリパワリング(改修による発電増)を提案する。さらに、東芝ESSの統合監視システムを23年10月から段階的に導入し、IoT(モノのインターネット化)技術を駆使した最新のO&M技術を実装していく構えだ。
東芝ESSとCO2OSを合わせたO&Mの受託量は、特別高圧太陽光発電所を中心に約2GWに及ぶが、すでに一部の案件では群管理への移行を始めている。東芝ESSエネルギーアグリゲーション事業部再生可能エネルギー技術部運用・保守サービスグループの家永栄治エキスパートは、「双方の案件を集約しつつも品質を落とさず、最適なO&M体制を構築する」と話す。
DEI再生可能エネルギー投資部兼投資ソリューション部の藤田学博副部長は、「3社が相互補完し合えば、非FIT時代で戦える枠組みをつくれる」とし、年内には鹿児島県内のFIP太陽光発電所に蓄電池を追加設置するなど、3社連携の新たな試みにも挑む考えだ。
再エネ発電所には、地域共生や事業規律の遵守だけでなく、施工品質や安定稼働も求められる。さらに発電量予測や計画値の策定といった発電業務も欠かせないため、異なる経営資源を持つ企業同士が連携し、サービスを拡充する動きは、今後増えるかもしれない。