再エネ抑制量、半年で13億kWh超え
前年比7倍に急増
系統増強も 抑制率12%
一方、経済産業省は23年10月、『出力制御対策パッケージ』の骨子案を公表した。これによると、①需要面での対策、②供給面での対策、③系統増強、④電力需要構造・電力市場構造における対応、と4つの分野からそれぞれ対策を進める方針だ。
需要面での対策では、蓄電設備などの導入を促し、出力抑制が発生する時間帯に電力需要を創出する上げDR(需要応答)を推進する。供給面での対策では、火力発電の最低出力を30%に引き下げて再エネを優先的に活用する仕組みを構築する。系統増強では、計6〜7兆円拠出し、OCCTO(電力広域的運営推進機関)が策定したマスタープラン(電力系統の増強計画)に沿って基幹系統を増強しつつ、海底送電線で北海道と本州や、本州と九州などを繋ぐ。
これについて、再エネに詳しい京都大学大学院経済学研究科の諸富徹教授は、「出力抑制の課題解決に向けて国の本気度は伝わった。特に短期的な対策は評価できる。電力消費者にインセンティブを与え、電力需要を日中にシフトさせることができれば、一定の効果はあるだろう」と語る。
では、出力抑制は抜本的に解消するのだろうか。OCCTOはマスタープランを実現すれば、再エネ電源の出力抑制率を12%以内に抑えられるというが、裏を返せば、12%近くの出力抑制が常態化しまうわけだ。脱炭素社会の実現に向け、さらなる出力抑制対策を講じる必要があるのかもしれない。