東海で地域再エネ発電会社設立
名銀、サンヴィレッジら4社が参画
東海地方で再エネ発電会社が立ち上がった。新会社は太陽光発電のPPAを軸に再エネの〝地産地消〟を実現し、自治体と地域脱炭素化を進めていく構えだ。(本誌・楓崇志)
名古屋銀行と矢野建設(名古屋市、矢野雄嗣社長)、サンヴィレッジ(栃木県足利市、三村挑嗣社長)、DGネットワーク(名古屋市、新海優社長)の4社は2023年12月15日、再生可能エネルギー発電事業を行う新会社『金シャチエナジー』を設立したと発表した。 新会社には、矢野建設とサンヴィレッジ、DGネットワークのほか、名古屋銀行の投資子会社、名古屋キャピタルパートナーズが運営するファンドが資本参加した。出資比率は非公開だが、新会社の代表には矢野建設の矢野社長が就いた。
新会社は、東海地方の遊休地や屋根、農地に再エネ発電所を建設・所有し、発電した再エネ電力を東海地方の電力消費者にPPA(電力売買契約)方式で供給していく。太陽光発電所を中心に開発し、29年度までに30MWの運転開始を目指す。東海地方の自治体とも連携する方針で、29年度までに地域脱炭素化の関連事業で10自治体と、再エネ供給で5自治体と、それぞれ連携する目標を掲げた。
新会社の社長に就任した矢野建設の矢野社長は、「4社の知見や強みを活かし、地域内に再エネを開発し、地域内で循環させていく。地域における再エネ自給率の向上と脱炭素化に貢献したい」と意気込む。
新会社では、名古屋銀行が資金を供給し、矢野建設は太陽光発電所のEPC(設計・調達・建設)を手掛け、サンヴィレッジはEPCと開発業務などを担う。DGネットワークは地域マイクログリッド(小規模電力網)事業や脱炭素先行地域などで自治体と事業を構築してきた経験を活かし、自治体との連携事業を推進していく。
なお、サンヴィレッジは、地域の再エネ企業や金融機関などとの共同出資で再エネ発電会社を設立しており、今回で7社目となる。同社は23年10月に特定卸供給事業者の届出が受理され、再エネ発電業務を手掛けるアグリゲータ事業にも進出済みだ。今回の新会社が建設する太陽光発電所でも、オンサイトPPAやフィジカルPPAだけでなく、環境価値のみを電力消費者に提供するバーチャルPPAの活用も視野にあるようだ。三村社長は、「中小規模の再エネ電源を束ねられるアグリゲータ機能も有効活用していきたい」と語る。
地域の企業が関与する〝非FIT〟再エネの開発は、地域共生や地域脱炭素化の実現などの観点で重要な取り組みだ。24年には具体的な成果が拡大していくかもしれない。