パネル変更ルール再改定と円高で色めき立つ海外メーカー
太陽光パネルの軽微変更ルールが再び変わる──。業界に激震が走って早1ヵ月。まだ最終決定していないが、早くも海外メーカーが提案を強めている。パネル商戦が過熱しそうだ。
「海外パネルメーカーからの売り込みが突然激しくなった。いままでWあたり75円と言っていたのに、急に62、63円を提示してきた」。あるEPC幹部は驚きを隠さない。
8月1日以降の接続契約分から3年の運転開始期限はあるものの、パネルメーカーを変更しても買取り価格を取り直さなくてもよい方針が明らかになり、業界は一気に色めき立った。
特に参入が遅れ、40円や36円、32円といった過去案件をそれほど獲得できなかった海外パネルメーカーにとっては千載一遇のチャンスだ。パネル変更ルールが厳格化された1年半前とは為替相場の状況も違う。
厳格化されたばかりの2015年2月16日。その日の終値は1米ドル=118.72円、1ユーロ=135.14円だった。その後、円高基調で推移したこともあり、「海外メーカーが値下げ交渉に応じない」との恨み節も聞こえた。
ところが16年6月7日の有識者会議にてパネル変更ルールの再改定の方針が明らかとなる。その日の終値は1米ドル=107.33円、1ユーロ=121.88円。
さらには6月24日。英国のEU離脱が決定し、為替相場は混乱、一時的に1米ドル=99円をつけるなど円が急伸。現在は落ち着きつつあるが、7月中旬でも1米ドル=105円前後、1ユーロ=115円前後で推移し、1年半前と比べて10円ほど円高傾向。海外勢にとって追い風になるはずだ。
7月14日、改正FIT法の施行規則に関するパブリックコメントの募集が締め切られた。最終的にどのような施工規則になるのか。間もなく明らかとなる。
ある国内メーカーの担当者はため息をつく。
「販社を含めて、せっかく住宅回帰を本気で推し進めているのに、決まったはずの産業用に再び目を向けないといけない。混乱しなければいいが…」。
熱い夏になりそうだ。