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新FIT法で早くもルール改定

運転開始に期限 パネル変更は旧規定に緩和

6月3日に公布された改正FIT法。来年4月の施行に向け、制度設計の議論が始まったが、経済産業省は今年8月1日以降の接続契約分から太陽光パネルを変更しても買取り価格の取り直しを求めない方針を明らかにした。ルール変更に業界内が騒がしくなりそうだ。

6月7日に開催された経産省の有識者会議。その場で公開されたFIT制度の見直しに関する詳細制度設計の資料で、今年8月1日以降に工事費負担金契約を含む接続契約を締結する太陽光案件について、運転開始に期限を設ける方針が示されたのだが、さらに次の一文が添えられた。

『設備の変更に伴い新しい認定を求め、買取価格を変更させる仕組みは新制度以降は適用しない』。

この文脈の意味は、パネルを変更しても買取り価格は変わらない。すなわち、軽微変更ルールが旧ルールに再改定されるのである。

軽微変更ルールは2015年1月に改定され、同年2月15日から運転開始前のパネルの基本仕様の変更は、原則として設備認定の取り直しとなった。つまり、認定取得後に年度を跨いでいると、認定の取り直しによって買取り価格が下がるため、発電事業者は事実上パネルを変更できなくなったのだ。

しかしこのルール改定に対して、「メーカーとの価格交渉力が弱まった」、「メーカーから急な値上げを提示された」、「納期遅延があってもパネルを変えられない」など、不満が噴出。とくに海外大手メーカーの経営不振が明るみになっても、パネルを変更できないことに対して波紋が広がり、「改悪」との批判が飛び交っていた。

だからなのか、業界内では昨夏以降、「再びルールが改定され、以前のように買取り価格を維持したまま、メーカー変更が可能になる」という噂がまことしやかに囁かれていた。それが突如、現実のものとなるのである。

ただし、全ての案件に適用されるというわけではなさそうだ。対象となるのは、今年8月1日以降に電力会社と接続契約を結んだもので、かつ来年4月からの新制度に移行できる案件だ。

それらの案件は、新制度では、10kW以上の事業用太陽光であれば、3年以内に運転開始しなければならないという期限が設定される。それ以降に運開すると、事業用は買取り価格の引下げ、もしくは買取り期間が短縮される。

今回、運開期限が設けられるのは、早期稼働を促すためで、省令公布のタイミングなどを考慮したために8月1日を基準日としたようだ。一方で、7月31日までに接続契約を交わした案件に対してのパネルの仕様変更に関するルールについては、「運開期限が設けられた案件を対象とするが、詳細なルールは現在、検討段階」(経産省新エネルギー対策課の呉村益生課長補佐)としている。

運開期限の起算日は、みなし認定として新認定制度に移行した日である。つまり、7月1日から来年3月31日までに新規認定を取得し、接続契約に9ヵ月間の猶予がある案件と、電源接続案件募集プロセスに応札中の案件以外は原則、『17年4月1日』となる。そこから3年、すなわち20年3月31日までの運開を目指すことになるが、「特高案件になると、3年内の運開が厳しいものもある」(機器メーカー筋)ため、工事費負担金を含めた回答を受け取っている案件のなかには、7月末までの契約締結を優先する動きもあるようだ。

そもそも軽微変更ルールは、調達価格は毎年度通常要する費用等を基礎に算定されているため、事業のコスト構造が確定する時点の価格が適用されるべきとの考えから策定された。それを再び一部の対象案件について、旧ルールに戻す理由を経産省の呉村課長補佐は、「運開期限を設けた案件については、コスト構造の時間差がなくなるため、敢えて既存ルールを残す必要性がなくなった」と説明している。

もちろん運開に漕ぎ着けるためにパネル変更を行う案件もあるだろう。パブリックコメント案によると、8月1日以降に変更認定申請を行うものから適用されるようだが、すでに「パネルの変更にはこれまで制限が設けられていたが、再びフリーマーケットに戻る。我々にとってはチャンスだ。戦略を練り直さなければ」と語る外資系メーカー幹部もいる。

未稼働案件に対する最後の戦いが始まりそうだ。

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