改正FIT法、17年4月1日施行へ
システム費用見直しで産業用価格引き下げ
改正FIT法の施行日がほぼ決まった。2月9日、「再エネ特措法等の一部を改正する法律案」が閣議決定され、今国会に提出された。施行期日は当初の想定通り、2017年4月1日。現行制度の下で最後の1年が始まる。
このほど閣議決定された改正法案は、昨年末に有識者会議でまとまった報告書に沿ったものだ。
太陽光に関するポイントは、既存認定案件には経過措置を設けつつ、「発電事業の実施可能性を確認したうえで認定する新たな制度を創設」する。事業実施中も含めて、改善命令や認定取消しを可能とした遵守事項を設定し、情報公開の仕組みも設ける。事業用太陽光の大規模案件を対象とした入札制を導入し、住宅用太陽光は価格低減スケジュールを示す、といったところだろう。
改革法案の施行期日は17年4月1日と定められた。端境期となる16年度は、未稼働案件がどこまで事業化できるか、分岐点の1年となる。
その16年度の買取り価格を決定する調達価格等算定委員会も年明けから始まった。改正FIT法を踏まえたうえでの議論が進む。
現行法下とはいえ、10kW以上の太陽光には、厳しい価格設定となりそうだ。算定においてカギを握るのはシステム費用の設定水準。
従来は、最新期(10~12月)の1MW以上のシステム費用の中央値を採用してきた。だが、「徐々にシステム費用が下がり、全体のバラつきが小さくなり、メガソーラーと全体分布の差異が縮まっている」(経済産業省)。
そこで、システム費用の水準を単純な中央値ではなく、これまでの過去想定値以下のコストで運転開始してきた10kW以上の上位パーセンテージの値を参考にして設定する方法を提案。その場合、kW当たりのシステム費用は、28万円から、最大23.2万円まで引き下がる。
委員からの大きな異論はなく、上位%値が14年並みの水準である26.8万円から、同じく13年並みの水準である23.2万円の範囲で設定すべきというのが大筋の意見だ。25円を切るのは確実だろう。委員の一人は、「どれを選ぶかは判断の問題」というが、あとはどこまで20円に近づくか、だ。どちらにしても、新規案件の数はそれほど見込めない。
一方、10kW未満の住宅用については、システム費用や運転維持費が下がり、設備利用率や余剰売電比率も上昇。これらは、買取り価格の減額要因だが、11~20年目の便益を家庭用電力料金単価24円から卸電力市場価格11円程度に見直すことにも言及している。
住宅用はここ2年、減少傾向にあるものの、自家消費型へ誘導するためにも重要な市場だ。「2030年に太陽光7%を達成するには、自家消費型しかない。やはり売るより自ら使う方が得をするソケットパリティ間近の住宅用だ」(メーカー幹部)。
今後の太陽光市場を占ううえでも慎重な検討が求められる。