電力小売り40社誕生も電気料金を唱えないワケ
ようやく40社の電力小売りが誕生し、電力陣取り合戦が始まったかと思いきや、肝心要の電気料金が出てこない。しかもこの電気料金、今冬まで発表がずれ込む恐れもある。
電力小売り登録がスタートして2ヶ月あまり。反社会的勢力から一般消費者を守るべく、電事法の一部改正などの修正手続きを挟みつつ、82社(10月7日時点)の申請の内、まずは40社の小売りが誕生した。
サニックスグループのSEウイングズやウエスト電力、LoooPといったPVに馴染み深い企業から、大手新電力や石油元売り、都市ガス・LP勢などの企業が名を連ねる。
さらに東京ガスや丸紅、ソフトバンクグループ、楽天などの登録が今後控えており、小売りはまだまだ増加する見込みだ。
関電グループのケイ・オプティコムが、「eo光を提供する155万軒がターゲット。一般家庭に電気をお届けすることで、総合インフラ企業を目指す」(橘俊郎取締役・経営本部副本部長)ように、電力が様々なサービスと結びつき、安い電気が生まれると期待大である。
ところが、小売りからは肝心要の料金プランやメニューが発表されない。表向きは、託送料金が正式決定していないとの理由だが、「電気料金を先に公表すれば、他社にその金額をベンチマークにされてしまう」(石油元売り大手)というのが本音のところ。
水面下でいま、小売り間での激しい情報合戦や提携交渉が続くが、16年1月には電力乗り換えの事前申し込みが始まってしまう。
それまでに自社の料金プランやメニューを打ち出せなければ、消費者の選択肢にも入れないだろう。どの小売りが真っ先に料金プランを提示するのか。注目が集まる。