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電力自由化で思わぬ余波

新参小売りへ、FIT買取り義務の例外を

全量買取りの精神は守りつつ、買取り例外も入れる

ただその一方で、再エネ発電側にしてみれば、全量買取りというFIT法の精神を確実に担保してくれるためにも、無制限での買取りが何より望ましい。万が一、買取りキャップが低く設定されようものなら、誰も買い取ってくれない、そんな事態が起こってしまう。

全量買取りという法の精神を守るためにも、買取りの上限枠は電力の最大需要ではどうか。または25万軒以上の一般顧客を持つ小売りに買取り義務を負わせたイギリスのFIT制度になぞって、エリアで市場シェア50%以上を持つ小売りに買取り義務を負わせれば、再エネ発電側のラストリゾート(最後の買い手)なるのでは。

あるいは新規参入から一定期間は、買取り義務を負わないといった裾切り制度を導入すれば、資本の薄い小売りを守ることができるのではないか。

「イコールフッティングを原則としながら、買取り義務の例外は入れる」──。

上限枠やシェア、裾切り猶予期間など、具体的な数字は経産省マターとしつつも、7月初旬に開催された買取制度運用WGでは一応の合意が形成された。ただし、決着したのは買取り義務などの例外規定のみ。計画値同時同量の世界に入ったとき、計画発電量の予測は2日前の天気予報をもとに作成・通知すると規定済みだ。だが予報はあくまで予報、当然、発電予測が外れることは間違いなし、だろう。では、「いつまで、しかも何回までなら、計画値を変更していいのか」。

こうしたFITと自由化との齟齬はまだ山積み状態だ。残す時間も限られてきたなかで、どう整合性を取っていくのか。

ラストワンマイルまでの道のりは遠い。

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