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シャープ、経営危機再燃

赤字太陽電池部門に大ナタ!?

再び巨額赤字に転落する可能性が浮上したシャープ、だが立て直しは決して容易ではない。

「太陽電池などの不採算事業の減損処理により、最終赤字が1000億円を超える、との報道がありますが、決定した事実はなく、15年3月期の通期業績について現時点で修正の予定はありません」──。

3月3日、経営危機の再燃が報じられたシャープは即座にこう否定したが、業績悪化が止まらない。

とくに名指しされた太陽電池部門は、13年度こそ売上高4388億円、322億円の営業利益をあげるも、14年度第2四半期より再び失速。赤字体質が続く。仮に撤退に踏み込めば、損失はさらに拡大するとの見方もある。

だが、太陽電池部門の撤退報道は、実はこれが初めてではない。12年の経営危機時にも撤退観測が浮上。このときは葛城工場(奈良県)を大幅縮小させ、堺工場に集約。さらに自社生産に見切りをつけ、海外メーカーから調達・販売するOEMに一気に舵を切り、合理化を進めてきた。

その当時から太陽電池業界では「シャープの薄膜太陽電池ラインなど誰も買わない」と疑問視されてきたのだが、3年後に降ってわいた再度の撤退報道。

当時の経緯を知る業界関係者は、「国内外のメーカーに売却の打診をしているらしいが、誰が買うのか」とデジャブのような声が聞こえる。

なぜ、堺工場の売却が難しいのか。それは薄膜太陽電池の製造ラインを含むからだ。世界の太陽電池は結晶系と呼ばれるタイプがほぼ独占。薄膜系で成功をおさめたのは昭和シェル石油グループのソーラーフロンティアか、米ファーストソーラーなど、ほんの一握りしかいない。

しかも、ソーラーフロンティアが製造するのは、CISと呼ばれるまったくの別タイプ。同じ薄膜系でもシナジーを見込みにくい。だがその一方で、事業売却を打診されていると報道されるなど、国内勢のなかで、最有力候補と目されているのも事実だ。

「その場合、堺工場のみではなく、事業譲渡の形が有力だろう」。

業界幹部はこう語る。

「住宅用マーケットに本格攻勢をかけるためには、シャープの持つ営業インフラは魅了的。事実、子会社のシャープエネルギーソリューションは黒字を稼げていると聞く。お荷物なのは堺工場。それと高効率な結晶系太陽電池である『ブラックソーラー』の技術。日本の住宅屋根は狭い。薄膜系でも、ファーストソーラーは高効率結晶系の企業を買収し、カネカも結晶系を開発している。彼らにとって手に入れたい技術のはず。赤字事業を買うので、親会社である昭和シェルの意向次第だが、事業買収の価値は十分にあるはずだ」(業界幹部)。

また世界を席巻する中国太陽電池メーカーも、候補となり得るが、12年ごろにかけ、巨額な赤字を垂れ流し、財務を大きく毀損しただけに、「中国も薄膜には手を出さない」(大手商社)とにべもない。「それに銀行や経産省も嫌がるだろう」(業界関係者)。

その一方で、「太陽電池の販売から撤退するとは考えにくい」との見方もある。エネルギーシステムソリューションが、今後の稼ぎ頭になるとの予測があるためだ。また液晶以外にどの部門で売上げを上げるのか、見通せないのも、撤退否定の要因となっている。

はたしてシャープは復活できるのか。太陽電池で世界トップに立った当時の面影はもうない。

シャープ 四半期ごとの業績推移(2011~2014年度

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