15年度の買取り価格は28円と35円!?
運用見直しで50kW以下しか取得できない価格に、しらけムード
いまだ賛否両論渦巻く遠隔出力制御。その導入に伴う費用想定額が算定委員会で一応の決着を見た。10kW以上は上積みなし。10kW未満は1万円/kW増へ。ただし、1万円増は指定電力管内のみ、3電力(東電・中部電・関電)と価格を区分するという。
15年度、買取り価格はどこまで引き下げられるのか──。
太陽光偏重の解消を、何より国民負担に配慮せよとの議論が昨秋より噴出。買取り価格を決める調達価格等算定委員会でも、設備利用率を14%に引き上げるなどの試算が出ると、どこまで大ナタを振るうのか。市場関係者は気が気でなかった。
だが、遠隔出力制御の導入に伴う費用負担額が一応の合意を見たことで、15年度の買取り価格が試算できる段階に入った。まず出制御の費用想定額だが、10kW以上は上積みなし。その一方で、10kW未満は1万円/kWを上乗せするが、3電力(東電・中部電・関電)管内と指定電力管内での買取り価格を区分し、2段階の価格に設定するという。
10kW以上で上積みなしとの判断に至った理由が、1.35万円/kWで据え置いた接続費用で吸収せよ、というもの。もちろん、現実的には費用負担につながる。価格の算定基準とする1MW以上の発電所でも0.31〜0.4万円/kW増となると想定されている。
だが、接続費用の平均値が0.45万円/kW、中央値だと0.17万円/kWに関わらず、1.35万円に据え置いたのだから、吸収できるだろうというのが事務局案だ。これに対し、「大盤振る舞い、盛りすぎだ」との意見が出るも、なんとか合意に至る。
一方、10kW未満は余剰買取りである点、何より一般消費者が対象になることから、1万円の上乗せを決定。ただ、この想定額に対して早くも「通信費用が安すぎる」と異論が上がっている(詳細は特集参照)。
異論はあるものの、全国一律で出力抑制費用を想定せず、義務化のない3電力管内には価格を反映させないとの意向は筋論だろう。
このほかシステム費用も提示済みの29万円/kWで合意。表の通り、土地造成費や土地賃借料、運転維持費は異論なく、算定根拠となる想定値が概ね出揃った形だ。
そこで独自試算をしたところ、10kW以上は28円/kWh(税抜き)、10kW未満は中3電力で35円(同)、指定電力内で36円(同)となった。市場予測とそう乖離ない数字となったが、最大の問題はこの価格が、プレミア期間が切れる6月末で終わるという点だ。
15年度からは買取り価格の決定時期が電力会社との接続契約締結時に変更される。しかし、一般電力による契約までの処理期間は最大9ヶ月。つまり、価格がいくらに決定されようが、50kW以上の発電所が、3ヶ月間限定の価格を取得することはどうやっても不可能である。
別の諮問会議のある委員は、「3ヶ月限定の価格を算定する理由は、7月以降の価格を決定するための材料だ」と語る。
算定委員会での議論が白熱するたびに、市場にはしらけムードが広がる。