福島・南相馬のモジュール工場計画白紙に
南相馬市、訴訟も検討
福島県南相馬市の市有地で計画されていたモジュール工場の建設計画が頓挫した。事業者から市に対して、地代が支払われなかったためであるが、土地売買契約などについては意見の相違がある模様だ。市側は契約の無効確認を行うため、訴訟準備を進めている。
計画が白紙となったのは、ジー・エム・ジー(東京都千代田区、高岡龍之介社長、以下GMG)が南相馬市原町区に建設を予定していたセル・モジュール製造工場。投資額は約50億円。南相馬市から約3.6haの工業用地を取得し、2014年6月には年産100MWの生産拠点が立ち上がるはずだった。
この計画は12年9月に福島県の「ふくしま産業復興企業立地補助金」に採択され、同年12月末にはGMGと南相馬市は企業立地協定を締結。13年3月には、土地売買契約を交わし、市側は土地代3億33百万円の請求を行った。しかし、4月末の期限までにGMGからの入金は確認できなかった。
その後も支払いはなく、「市としてもGMGが工場を建設し、操業することで雇用を創出してもらいたいと望んでおり、確認しながら進めていた。だが、工業用地は市民の財産であり、このままの状態にしておけない」(南相馬市商工労政課)として、今年3月に催告状を送付。3月26日の支払期限までに入金がなかったため、契約解除が成立した。
ところが、契約解除後にGMG側から意見書等が届いたため、「土地を他の企業に紹介していくため、債務が存在しないことを明確にしていきたい」(同)として、14年6月に市議会の承認も得て、土地売買契約の無効確認を求める訴訟の準備を進めている。
一方、GMGの担当者は、「まだ問題が解決していないため、現段階では何もお答えできない」としながらも、「土地契約に関しては様々な問題が存在する」としている。