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8GW超の太陽光プロジェクトが暗礁か

経産省、3GW認定取り消し

経済産業省は2月14日、稼働が遅れていた太陽光発電所の実態調査の結果を公表し、認定取り消しに踏み切る方針を固めた。調査結果によると、発電所用の場所と設備を確保していない案件が4.8GWにのぼった。このうち合理的な理由のない3GWを、経産省は3月末までに順次聴聞して認定を取り消す方向だ。このほかにも、場所と設備どちらか一方しか確保していない案件が多数あり、認定を取得した太陽光発電所13.3GWのうち、実に8GWを超える案件が暗礁に乗り上げる可能性も出てきた。

現行のFIT(全量買取り制度)では、事業者は認定時に設定された価格で売電できる。着工の期限が定められていないだけに、いつまでも認定を取得しておくことが可能で、設備の価格が下がるのを待ってから着工することもできた。

しかしこれは法の趣旨に反するルール違反である。そもそもFITは再生可能エネルギーを普及させるための制度で、買取った費用は国民が負担する仕組み。価格はその年の建設費などをもとに公正に算定される。ゆえに着工が遅れるなどの理由から認定を取得した発電所の費用構造が変われば、従来の認定を取り消し、費用構造が変わった時点の買取り価格を適用するのが本筋だ。

それにもかかわらず、敢えて着工を遅らせ、ルールを意図的に破ろうとする悪質な業者が現れた。そこで経産省は昨年9月、報告徴収という形の実態調査を開始したのである。

12年度の設備認定済みの案件で運転開始していない出力400kW以上のプロジェクトを抱える業者に通達文書を送付。その数4699通に及んだ。

提出期限を1ヵ月後に定め、期日までに提出しなかった場合や虚偽の報告をしたものには30万円以下の罰金刑を科すなど、厳格な報告義務を課した。だが期限を過ぎても未回収のものが2割以上も残り、4ヵ月経過した現在でも全数回収には至らなかった。認定取り消し基準の策定にも時間がかかり、実態調査は難航していた。

しかし経産省はこのほど、認定取り消しの基準について結論を下した。「基準は、〝場所〟と〝設備〟の契約の有無と決めた」(経産省幹部)。つまり、認定を認める条件は、発電所用の土地を購入もしくは借りていること。そして太陽電池モジュールを発注していることとし、それを客観的に証明できる書類の提出を求めた。

土地を購入した場合は登記簿謄本、借りる場合は土地の賃貸借契約書と地上権設定契約書、さらに貸し手の地権者がその土地を所有していることを確認できる書類だ。設備の発注を証明するものは、モジュールの発注書もしくは発注受領書である。

そして4699件に及ぶ全案件をこの基準と照らし合わせて分類し、認定取り消しの対象となるものを件数と発電容量で公表した。結果は表のとおりであるが、経産省は今回、救済措置を設けている。

場所と設備のいずれか一方を決めている案件と、両方なくとも電力会社と接続協議中か、あるいは被災地の案件で合理的な理由が認められるものについては、8月末まで認定取り消しを先延ばしした。さらに3月末に取り消し対象となる案件も、合理的な理由がありかつ場所か設備のどちらか一方を確保すれば、認定取り消しを8月末まで見送るというわけだ。

この決定について、経産省資源エネルギー庁の村上敬亮新エネルギー対策課長は、「すぐに認定を取り消すべきだという意見もあったが、期限を設けずに見込みの時点で認定を出すという制度設計上の甘さがあったのも事実。杓子定規に取り消しとするのではなく、救済措置を設けた」と経緯を語った。

ただ、8月末まで認定取り消しを延期しても状況は変わらないとの声も多い。ある中堅ディベロッパーはこう心情を訴える。

「認定取得から1年近く経過しているにもかかわらず、場所と設備すら確定できないのだから、今後も実現可能性は低い。ならば早く廃止届を出すべきだ。塩漬け案件が土地と電力系統を独占し、新しいプロジェクトが開発できないということになれば、再エネ普及拡大の観点からも大きなマイナスだ」。

調査の結果によると、稼働が遅れていた太陽光発電所約13.3GWのうち、その後運転開始したものはわずか1.1GWだった。開発を中止した案件が0.9GWで、場所と設備ともに確定しているものが4GWだから、残りの約7.4GWが宙に浮いた状態にあるわけだ。

これらが破綻するのか、あるいは前に進むのか。いずれにせよ事業者は8月までに答えを出さなければならない。国内の太陽光マーケットは、また大きく揺れ動く公算が出てきた。

その一方で、経産省は、今回の実態調査の結果を踏まえ、設備認定の基準を厳格化する意向を示した。具体的な要件は今後詰めていくが、土地の契約と設備の発注を要件に盛り込み、期限も設ける方向で検討している。

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