報告徴収 実態見極めに難航
〝足切り〟は、モジュール発注と土地確保!?
2012年度の設備認定案件で稼動が遅れている太陽光発電所の実態調査が難航している。経済産業省は、13年9月に報告徴収を実施した後も、確認がとれない調査対象に対しては設備の発注と土地の確保を証明できる書類の提出を促しているが、1月15日現在も全数回収には至っていない。証明書類の真偽は個別に精査していかなければならず、実態の全容把握にはまだ時間がかかりそうだ。
経産省は昨年9月18日、報告徴収という形の実態調査を開始した。対象は、12年度の設備認定済み案件で運転開始していない出力400kW以上の太陽光発電プロジェクトを抱える発電事業者。提出期限を12年10月18日と定め、期日までに提出しなかった場合や虚偽の報告をしたものには30万円以下の罰金刑を科すなど厳格な報告義務を課し、約4700通に及ぶ通達文書を送付した。
だが、提出期限から3ヵ月経った現在も回収率は9割超にとどまり、未回収のものがまだ数百件残っている。経産省は全数回収に向け、随時報告を促しているが、まだ時間がかかる模様である。
実態調査が行われたきっかけは、発電事業者のなかに、意図的に着工を遅らせようとしているものが存在するとの疑いが浮上したため。再生可能エネルギーの特別措置法によると、設備認定の要件を満たさないと判定できる案件は認定を取り消すことができる。経産省は、その基準に照らし合わせて調査をもとに判断する。
では、認定取り消しの〝足切り〟の基準は何か。経産省では、その線引きについて慎重に議論を進めているようだが、省令の要件や催促状の文面から推察すると、設備と土地の確保の有無が決め手になりそうだ。
つまり、認定を受けた発電事業者が、太陽電池モジュールを発注しているかどうか、そして土地を購入しているかどうか、あるいは地権者から借りているかどうか。これらを客観的に証明できるものがあれば、認定取り消しの〝御咎めなし〟となる方向だ。
経産省資源エネルギー庁の村上敬亮新エネルギー対策課長は、「設備は、モジュールの発注書か、発注受領書。発注書は偽造されている可能性もあるので、基本的には発注受領書。土地は登記簿謄本。事業者が借り受ける場合は、土地の賃貸借契約書と地上権設定契約書、さらに貸し手の地権者がその土地を所有していることを確認できる書類も必要」としつつも、「設備と土地、この2つを持って認定を認めるか、逆にこの2つが確認できないものは認定取り消しにするかについては慎重に議論している」としている。
400kW超設備、土地認定を厳格化
経産省は、今年1月14日受付分より、出力400kW超の太陽光発電設備の土地確保の認定要件を厳格化し、500kW超と同様の認定要件を適用する変更を行った。
必要書類は、発電用地を所有する場合は、登記簿謄本と売買契約書の写し。土地の賃貸・地上権設定を受ける場合は、賃貸借契約書と地上権設定契約書の写し。申請時に土地を確保できていない場合は、専用の権利者証明書。