ソプレイ、トワダソーラーに34%出資、経営再建へ
中国・太陽電池メーカー、ソプレイエナジーの日本法人、ソプレイソーラー(愛知県名古屋市、加藤有二社長)は政府系貿易商社、浙江国貿新能源投資とともに、経営難に陥っていたモジュールメーカー、トワダソーラー(秋田県鹿角市、湯瀬昇社長)への出資で合意し、抜本的な経営再建に入った。
ソプレイグループとトワダソーラーの3社は2012年2月、業務提携を締結。セル供給やモジュール販売などで連携してきたが、4億円を超す負債を抱えたトワダソーラーの経営再建には、資金援助が不可欠だと判断したもの。
まずは負債をトワダソーラーから分離、親会社である十和田グループに移管させたのち、増資をすることで再建への道筋を描く。
出資比率はソプレイソーラー34%、また本体ソプレイエナジーとモジュール部材の供給やメガソーラー開発で関係の深い浙江国貿新能源が33%を、残る33%は十和田オーディオが出資し、合計1.5億円の増資を図る。なお資本金は3億円と倍増になる見込みだ。
さらにソプレイソーラーは増資とともに、トワダソーラーのモジュール生産の増強にも動く。現状、10MWの生産能力を約1億2000万円投じ、年内にも60MWまで増産させる狙いだ。
加藤有二社長は、「日本に生産拠点を持つ意味は大きい。日本における生産や品質保証、さらにアフターサービス体制の構築によって、中国メーカーという枠を超え、グローバル企業としての一歩が踏みだせる」と出資理由を語る。
一方、十和田グループが太陽電池への参入を機に、2010年5月、モジュールメーカーとして設立されたトワダソーラーは、地元東北を中心に、雪国仕様モジュールなど独自製品を開発し、自治体向け、住宅マーケットで展開。だが急激な価格下落や限定的な生産キャパがネックとなり、経営難に陥っていた。
破産処理も検討したという十和田グループ。だが、ソプレイソーラーが経営再建に入ることで、最悪の事態は免れた模様だ。一方のソプレイサイドにとっても、これまでの提携の枠を超え、グループ化するメリットは少なくない。
背景にあるのが、EUによる反ダンピング課税と〝サンテックショック〟である。とくに信用不安が拡がった中国モジュール勢に対し、金融機関は融資限度枠を引き下げ、取引関連企業は前払いを要求し始めた。
13年度、150億円の売上高を見込むソプレイソーラーだが、「資金繰りが苦しくなり、多くのメーカーが倒産するのでは」(加藤社長)という懸念があった。
「トワダをグループ化することで、安全・安心も提供できる。差別化を明確にすれば、コスト一辺倒の海外勢と一線を画し、付加価値を追及できる」とも述べる。またグループ間での開発も進め、トワダが持つ雪国仕様モジュールや光触媒を利用したセルフクリーニングパネルのほか、新たな架台も展開していく予定だ。
とくにモジュール温度が上昇する夏場において、「1℃の気温上昇が0.5%の効率低下を招く。もし70℃まで上昇すれば、22%もの効率ダウンにつながる」という。そこでトワダでは熱を逃がす独自架台も開発中でもある。
これらグループ間のシナジー効果によって、トワダソーラーの早期黒字化も目指す。今期、ソプレイソーラーとトワダ含めた受注量はおよそ300MW。メガソーラーや住宅用での展開を通じ、トワダソーラーの財務基盤の改善を図っていく。
なお、新生トワダソーラーの経営には加藤社長も参画する一方、湯瀬社長も引き続き経営陣として残る。