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経産省、FIT発電所の長期運用に向け制度化検討

経産省は2024年5月、発電事業者の認定や太陽光発電所の評価などの新制度を創設する方針を示した。FITを活用した既設の太陽光発電所の長期稼働を促す狙いだ。(本誌・土屋賢太)

経済産業省資源エネルギー庁は2024年5月29日、太陽光発電所の長期稼働を目的に行動計画案を公表した。FITやFIP(フィード・イン・プレミアム制度)を活用する太陽光発電所を対象に、支援終了後の事業継続を促す狙いである。発電事業者と、JPEA(太陽光発電協会)などの事業者団体や事業評価者、金融機関、保険事業者などを連携させ、太陽光発電所の運営を集約する方針を明らかにした。

具体的には、『長期安定適格太陽光発電事業者(仮称)』として別途認定する仕組みを導入しつつ、太陽光発電所の格付け制度を創設する。長期間、太陽光発電所を運営する発電事業者に太陽光発電所を集約し、発電事業の長期継続を促す考えだ。

もっとも、12年から16年にかけて稼働した約29GW、47万件程の太陽光発電所の年間発電量は380億kWhに及び、国内総発電量の3~4%を占める。それらの太陽光発電所が32年以降、FITの終了とともに閉鎖されかねず、その後の事業継続が課題としてあった。

資源エネルギー庁省エネルギー・新エネルギー部新エネルギー課の小松篤史課長補佐は、「国民負担で導入した既設の太陽光発電所を長期間、安定的に稼働させなければ、50年までのカーボンニュートラル(炭素中立)の実現が遠退きかねない」と話す。

案によると、エネ庁は、太陽光発電所の格付け制度を新設し、FIT・FIPの発電事業者に定期点検などを促す。JPEAには制度化に向けて、『太陽光発電事業の評価ガイド』を活用しつつ、既設の太陽光発電所を評価する事業評価者の育成強化を求める。24年秋までに具体的な制度設計を盛り込んだ案をまとめ、25年春に新制度を施行する計画だ。

ただ、低圧太陽光発電所を運用する個人の事業者に定期点検などの実施をどう浸透させるか、課題はある。事実、23年4月時点のFIT・FIPの事業者のうち、低圧太陽光発電所を持つ個人事業者が57%を占めており、いまだに不適切な事業が散見される。厳しく取り締まるか、インセンティブを与えるか、実効性のある制度に設計する必要があるだろう。議論の行方に注目だ。

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