経産省、報告徴収の回収率8割強
稼動していない太陽光発電所の実態を明らかにするために経産省が実施した実態調査で、報告書の提出期限を過ぎた11月15日現在も回収率が8割強にとどまっていることが分かった。経産省はすべて回収して個々の内容を精査していく構えを示しており、結論が出るのは早くても12月以降になりそうだ。
経産省は、12年度の設備認定案件で運転開始していない出力400kW超の太陽光発電プロジェクトを抱える発電事業者を対象に、9月18日から実態調査を開始した。
報告徴収という形で約5000弱の事業者に通達文書を送付。提出期限を10月18日と定め、期日までに報告しなかった場合や虚偽の報告をした場合は30万円以下の罰金刑を科すなど厳格な報告義務を課した。
しかし期限から約1ヵ月が経過したいまも、回収率は8割強にとどまり、残りの1000件弱が未回収の状態だ。経産省はあらゆる手段を講じて全数回収を図る意向である。
そもそも、経産省が実態調査に踏み切ったのは、設備認定量と稼働量との間にギャップが生じ、一部の事業者が意図的に着工を遅らせているとの疑いが浮上したことが発端。再生可能エネルギーの特別措置法には、設備認定の要件を満たさないと判定できる案件は認定を取り消すことができると定めているため、認定取り消しにあたる案件の有無を探るのが調査の目的だ。報告書を出し渋りする事業者こそ疑わしく、まさに調査すべきターゲットとなる。
経産省は現在、回収した報告書を順次精査しているが、認定取り消しにあたる案件かどうかを見極めるのは容易ではないようだ。
経産省資源エネルギー庁の村上敬亮新エネルギー対策課長は、「(報告書は)あらゆるバリエーションがある。まず着工遅延の案件を絞り込み、遅延の理由の妥当性を判断していくのだが、ここは個別事情を丁寧に見ていかなければならない。作業量は膨大」としつつも、「本丸を絞り込む作業が着々と進行している。必ず実態を解明し、結果を公表する」と強調した。