着工遅れにメス
経産省、400kW以上の発電所対象に実態把握に乗りだす
経済産業省が12年度の買取り価格、42円/kWhの設備認定を受けた発電事業者に対して、実態調査に乗りだした。対象は400kWを超える発電所で、まずは法に基づき報告徴収という形を取る。
13年6月末時点でも宙に浮く認定設備数は17.6GWにのぼるが、今回の調査によって着工遅れの実態にようやくメスが入る。
「実態把握をきっかけにもたついた発電事業者も動きだすはず」──。9月18日から始まった実態調査に業界関係者たちは熱い視線を送る。
経産省によると急激に認定設備が膨らむ一方、着工遅れが目立ち始め、42円の買取り価格を維持するに相応しいかどうか、改めて検証する必要のあるケースが生じているという。
そのため10月18日を期限に報告提出を決めたもの。
400kWの発電所を対象にし、発電事業者へ配布した通達文書には、期限までに報告しなかった場合や虚偽の報告をした場合は、30万円以下の罰金刑が科されるとある。
また報告内容によっては、事業所・事務所等の立入検査を実施する旨も記載されている。
その調査内容だが、運開済みかどうか、あるいは計画を断念したかという確認事項から始まり、運転開始のスケジュール、モジュールメーカー等との売買契約の締結、または注文証書の有無。
さらに土地あるいは建物における所有権ないし地上権、あるいは賃貸借権に関わる書類の提出が並ぶ。
その一方で、運転開始を予定していても、どの理由によって運開に至っていないのか把握するため、電力会社との協議状況、行政処分庁との許認可手続き、金融機関による融資審査の状況報告を求めている。
たとえばアクセス協議ならどの段階にあるのか、「本申込みを行なったが、電力会社から連系承諾の回答を得ていないのか」。あるいは「本申込みを行い、電力会社から連系承諾の回答をもらったが、需給開始予定日に到達していないのか」。
そのほか、融資の相談を行なっている金融機関名の記載欄もあり、個別理由の把握に努める。
報告徴収の検証は今後となるが、市場関係者たちは「実態調査の次に出てくるのが、認定取り消しだろう。これが実施されれば、不当に系統を占拠した事業者が排除されるし、1MW数千万円という現実離れした価格を吹っかけた認定ペーパー売買も、少しは落ち着くだろう」と語る。
初年度、18.6GWまで膨らんだ非住宅の設備認定のうち、20〜30%がブローカーによって転売されているという予測もあるだけに、実態調査に対する期待は大きい。