バンク逆潮流問題ついに解決
系統連系リスク解消へ
全国で発生していた太陽光発電の系統接続問題に光明が差し込んだ。電力会社が接続拒否の理由に挙げてきた〝バンク逆潮流〟の問題が事実上解決した。バンク逆潮流の対策が必要な系統にも、発電事業者が発電設備の出力に応じて工事負担金(kW当たり最大3675円)を支払えば接続できる。電力会社は今年7月23日から接続申込みの受け付けを開始。系統接続が困難な状況は大幅に解消される。
太陽光発電設備で発電した電気を配電網に流し込む逆潮流。これを電力会社は基本的に受け入れ、売電事業が成立するのであるが、事前検討を経た後、電力会社から接続できないと断わられたり、隣の配電線であれば可能といわれたり、「待った」をかけられることがしばしばあった。
しかし今回、電力会社による対応で、この状況が大幅に改善される。以前、系統接続を断わられた発電事業者も、再度申請し直せば、接続できる可能性が高い。
これまで電力会社が接続を拒否した大半の理由は、配電用変電所の配電変圧器で逆潮流が生じる可能性があるというもの。すなわち〝バンク逆潮流〟が起こり得るために、接続が拒否されてきたのだ。
バンク逆潮流が問題とされてきたのは、送電用変電所と配電用変電所を結ぶ送電線が一方通行で逆潮流できなかったことによる。
この状況のもとでは、需要家側で太陽光発電設備の設置が進み、配電網への逆潮流が増えると、バンク(配電用変電所から電力需要家までの配電系統)全体の電位が上昇し、配電用変電所内の配電変圧器で逆潮流が発生してしまうという懸念があった。そうなれば配電用変電所から需要家への電力供給に支障を来たす恐れがあるうえ、保安上のトラブルも起こり得た。
そこで太陽光発電を普及させるために、送電用変電所と配電用変電所とを結ぶ送電線も逆潮流できるようにしてバンク逆潮流が認められるように電力会社が対応に動いたのである。
経産省は5月末に省令を改正して規制緩和を行なった。続いて各電力会社も、遮断器や開閉器などの保護装置を設置したり、遠隔監視制御用の設備などの電圧調整設備の取替えや改修をしたりして対応した。
ただし、これらの対策費用は、すべて発電事業者側の負担となる。対象の配電用変電所は全国に300ヵ所程度あるとされ、費用は1ヵ所当たり500万円から1億円になるともいわれているが、これらは太陽光発電の普及のためにだけに発生する費用であるから、発電事業者側の負担となるのは止むを得ない
対策費用は電力各社が一時的に負担して対策を進め、その後、そのバンクに接続する発電事業者から発電設備の規模に応じて工事負担金を徴収するということになった。
工事負担金は各電力会社によって異なるが、最大でkW当たり3675円(詳細は表に記載)。つまり1MWの太陽光発電所であれば、従来の建設費に加えて工事負担金が367.5万円かかることになる。むろんこのコストは、買取り価格の算定に反映される。