経産省、設備認定改正へ
モジュール変更認定取り直し!?
経産省はこのほど、設備認定のルール改正の検討に入った。太陽電池モジュールの型式変更などによって設備のコスト構造が大幅に変わる場合、事実上の認定取り直しを要件に盛り込む方向だ。現行ルールでは、認定後の設備変更は簡易な届出で済む。認定時の買取り価格はそのまま維持されるため、モジュール価格の値下がりを見越して着工を遅らせ、差益を得ようと目論む業者が出てきた。経産省はこうした買取り価格の〝空枠取り〟に歯止めをかける狙いだ。
現行のルールでは、出力10kW以上の太陽光発電は、設備認定時の出力と比べて20%以上の出力の変更があった場合、もしくはメンテナンス体制を変えた場合は、運転開始前に変更認定を申請しなければならない。
変更認定とは、事実上の設備認定の取り直しで、買取り価格は変更認定時の年度の価格が適用される。
しかし、その他の変更は軽微変更届出を提出すればよい。認定時の買取り価格はそのまま適用される。発電事業者名や発電所名、所有者、所在地などの変更から、モジュールやパワーコンディショナといった発電設備の変更に至るまで、軽微な変更と位置づけられた。
この現行ルールには、工期が年度を跨ぐ大型プロジェクトを遂行しやすくするという配慮が伺える。また、建設後の発電所を売買するディベロップビジネスなどの創出も想定して設計されたのかもしれない。
しかしこのルールを不当に利用しようとするものが現れた。設備認定を取得したにもかかわらず、意図的に着工を遅らせる。モジュールが値下がりするのを待って、価格が下がった段階で発注し直す。つまり初期負担を抑えて、高利回りの売電事業を始めようと企んでいるのだ。
経産省資源エネルギー庁の村上敬亮新エネルギー対策課長は、「再エネ事業は国民負担のうえで成り立っている。それだけに、買取り価格の空枠取りは看過できない。厳しい措置を講じざるを得ない。ただ発電事業者の9割以上は真剣に事業を進めているはず。ごく一部のものに対する措置が多くの事業者の足枷となっては問題だ。状況をよく見極めながら、対策は慎重に考えていく」としている。
経産省は、変更認定の要件の見直しも含めて検討しており、今後パブリックコメントなどを経て対応の方針を決めていくようだ。
FIT(全量買取り制度)の買取り価格は、再エネの設置にかかる費用に一定の利潤をのせて決定されている。つまり再エネ法の趣旨は、設備のコスト構造を、より忠実に買取り価格に反映させること。それが再エネの健全な普及に繋がるというわけだ。
これに準ずれば、認定時もしくは電力会社への特定契約の申請時に、その年度の買取り価格が付与されるのだから、その時点のコスト構造を明確にする。その後コスト構造が変わる場合は、その度に変更認定を義務付け、その年度の価格を適用すればよい。
これを突きつめていくと、発電設備だけでなく地代や建設費などあらゆるコストが定まった時点、つまり部材などの発注時の買取り価格が適用されることにすればよいとなるが、そう容易に決められないようだ。