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耐PID試験 JIS化へ

IEC規格を踏まえ、早ければ2014年度に

経済産業省は、太陽電池モジュールの耐PID基準を、IEC(国際電気標準会議)での規格化を踏まえたうえでJIS(日本工業規格)化する方針を固めた。IECは今年5月から本格的な議論を開始する予定。JIS化については、2014年度までには一定の目途がつく模様だ。

PID(Potential Induced Degradation、電位によって誘発された劣化)とは、高温多湿の状況下において、高いシステム電圧が太陽電池モジュールに印加されることにより、急激な出力低下を引き起こす現象である。全量売電が開始されて以来、メガソーラー建設が活発になっている日本国内においても話題となっており、様々なモジュールメーカーが、第三者機関での耐PID試験を実施し、公表している。

経済産業省産業技術環境局環境生活標準化推進室の稲垣勝地課長補佐は、「日本は気候的にも高温多湿。また、メガソーラーが普及するに従い、高電圧の発電所も増えている。国内でPIDが発生したという具体例は現在のところ聞いていないが、(規格化は)新エネルギーの普及拡大のために必要だと考えている」と話す。

ただし、JIS規格化は、あくまでIECでの議論を踏まえて行う。日本も参加しているIECでは、今年5月からワーキンググループでの審議が始まり、本格的な議論がスタートする。

稲垣課長補佐は、「先行して行うべきという意見もあるが、JIS化をIECより先に進めてしまうと、ダブルスタンダードになってしまう。海外進出している国内企業のためにも統一する必要がある」と述べる。

現在、米国がIECに提出したドラフト案での試験内容は、温度60℃±2℃、湿度85%±5%RHの条件下で、試験時間96時間、モジュールの最大システム電圧をかけるというもの。

稲垣課長補佐は、「試験の温度、湿度、時間、電圧の4条件が決まらないと始まらない。IECでの最終原案の策定状況を見ながらJIS化の協議を進める。IECで規格化されるまでに通常3、4年かかるが、試験内容がある程度固まっているので、そこまで時間はかからないだろう」と語る。

耐PID基準のJIS化には、JEMA(日本電機工業会)での原案策定、パブリックコメントの実施、JIS C(日本工業標準調査会)での審議を経なければならない。一般的に原案策定で数ヵ月、そこからJISとしての公表までに1年弱要するが、「国際規格に遅れを取らないようにしたい」(稲垣課長補佐)という。

耐PID基準のJIS化は、モジュールの長期信頼性に対する担保といえる。モジュールの信頼性に関する規格といえば、JIS Q 8901もその一つ。同規格は太陽電池モジュールの信頼性保証体制に関するもので、設計・製造面での長期信頼性の確認や製品保証体制の構築を要求している。

稲垣課長補佐は、「PIDに関する規格は、JIS Q 8901の延長線上にある」としたうえで、「JIS Qは日本独自の規格ではあるが、制度の施行まで時間もなく、コンセンサスを得るためにハードルを低めに設定せざるを得なかった。5年に1度見直しも行うので、使用者、生産者、中立者の意見次第で見直していく可能性もあるでしょう」と話す。

PID規格が全量買取り制度の要件になるかどうかについては、「もちろん資源エネルギー庁の担当部署とも規格に関する話はしている。物差しとして必要とされる判断があれば、要件になる可能性はある。ただまだ何もできていないので何とも言えない」とした。

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