サンテックパワー王国が崩壊
5億4100万ドルの債務不履行を発表 社債借り換えに失敗
中国大手で初のデフォルト
3月18日、サンテックパワーが事実上、崩壊した。15日に返済期限を迎えた転換社債、5億4100万ドル(約510億円)の元本不払いに対し、社債保有者から、デフォルト(債務不履行)を通告されたと発表したのだ。
マーケットでは江蘇省無錫市が資本出資に入るとの観測も流れたが、無錫政府は救済へと動かず、サンテックを見放した格好となった。
さらに事態は深刻で、デフォルトの宣言によって、国際金融公社(IFC)および中国国内のレンダー(金融機関)によるクロス・デフォルトの発動にまで及んでいる。債権者たちはクロス・デフォルトの権利行使によって、サンテックが抱えるすべての債務に関し、返済期日に関係なく、支払い請求ができることになる。
社債総額は不明だが、IFCは少なくても16年満期の社債、5億ドルを保有しており、サンテックパワーはほぼ財政破綻に陥った状態に近い。
3月に入り、市場は騒然としていた。創業者、施正栄氏の会長解任劇。さらに11日には先の転換社債のうち、「60%強の社債保有者と2ヶ月間の支払い延期で合意した」と発表してきたからだ。
だが、結果は債務不履行。世界トップに君臨したサンテックパワーはもはやかつての輝きを失っていた。11年に過去最大となる10億670万ドル(当時の為替換算で約825億円)もの最終赤字を抱えると、翌12年も赤字は続き、ある証券会社では、今期の赤字幅は4億ドルにのぼると予測。いくらモジュールを売りさばこうが、採算割れを引き起こし、生産するだけ赤字を生むだけだった。
3月15日が近づくにつれ、債務再編を目指し、融資借り換えを図るも、年間30億ドル強を売上げる企業が、2億ドル(約190億円)のキャッシュさえ枯渇したのが、実態だったようだ。
同社は声明で「債務のリストラクチャリングを進め、財務基盤を改革し、既存顧客はじめ取引企業との関係性を維持し、債務の返済義務を果たすべく、支援先を探す」とコメントしている。
またディビット・キングCEOは「株主、債権者、顧客、取引企業、そして従業員すべての利益となる最善の方法に導く」との声明文を発表したが、最大の問題は支援先探しだ。
一説では、倒産すれば5万人を超える雇用が失われるとされ、地方政府が支援に回るとの見方が多かった。だが、無錫市すらあえて手を差し伸べなかった現実から、支援先選びは難航が予想される。
もうひとつの懸念はサンテックが引き金となって引き起こされる連鎖倒産だ。中国最大手のデフォルトに世界が震撼している。