償還額、6社合計13億ドル
転換社債の期限迫る中国大手
1月下旬、深圳証券取引所に上場するある取引銘柄が一時的に、売買停止となっていた。その銘柄とは日本でもなじみあるチャオリーソーラー。その翌日、チャオリーの国営傘下入りが発表された。
同社もまた転換社債を抱えていたが、実はいま中国モジュール大手に次々と社債の転換期限が迫ってきている。償還額は6社合計で13億ドルあまり。市場関係者たちは固唾をのんで、償還のゆくえを見守る。
「日系に喩えるとシャープと同じ。要は金融機関次第だろう」。大手証券アナリストは社債リストを見て、こう語ったが、視線の先にある資料にはサンテックパワーやLDKソーラー、ジンコソーラー、JAソーラー、そしてチャイナサナジーにトリナソーラーなどの名前が連なる。
いずれも世界トップの生産量を誇るメーカーばかりだが、3月から毎月、彼らのうち誰かが社債の償還を迎えることになる。
なかでも飛び抜けて償還額が多いのがサンテックパワーだ。3月15日、同社が真っ先に総額10億ドル以上となる2つの社債の期限を迎える。
「転換社債だけをもってして、企業の存続可能性を否定してすることはできない」と強調しつつ、先の証券アナリストは「焦点は債務返済のためにリファイナンス、融資借り換えを金融機関が引き受けるか」だと解説を続けた。
「財務状態を見ればフリーキャッシュフローが少ない企業が多い。ただ中国の場合、地方政府が融資をしてきたケースもある。大手のモジュールメーカーは当然、延命させたい企業ですから、生産設備等に対して公的支援を注入することがあっても何らおかしくない」とも指摘する。
そのためマーケットでは楽観論が拡がりつつある。なかには「省政府ではなく、中央政府から直々の融資が決まった企業がある」との情報も流れる。こうした憶測の域をでない話が溢れるが、それもこれも3月に発表される12年決算報告の場で、今後の動向が明からになるだろう。
「太陽電池はネガティブバイアスで見られやすい業界とはいえ、サプライサイドの調整が出なければ、当面、海外市況のボトムアウトは見えない」(証券アナリスト)という。
ただ、淘汰はなかなか進んでいないのも事実である。上場廃止の疑義を解消したいま、融資借り換えも可能だとすれば、12年決算でどこまで赤字幅を止血できたのか。本当の意味での再生シナリオを描くためにも、決算状況がひとつの試金石となるだろう。