13年度の買取り価格、37〜38円で決着か
最近、マーケットで37〜38円という価格帯をよく耳にするのではないか。この数字、実は来年度の買取り価格の予想金額なのだ。
依然として42円/kWh維持論が多いなか、10%の引き下げは「やむなし」と市場関係者らは次年度に向けた調整を進め始めた。
調達価格等算定委員会での審議が進むなか、12年3Q時点での太陽光発電システム単価のデータが公開された。買取り単価の算定基礎となるその金額は、住宅用の平均値が42.7万円/kW、非住宅用の平均価格は28.0万円/kWであった。
初年度を振り返れば、住宅なら新築での46.6万円、非住宅用だと1MWの価格水準32.7万円が、42円決定の前提とされたのである。
ただし、コスト低減が進むことは折り込み済みで意外性はなく、むしろ約14%の削減率から10kW以上は先の37〜38円という価格帯が、いまのところ本命とされている。
仮にこの金額に決まれば、消費税を抜いた実質価格は35〜36円。大手EPCたちは「そもそも制度開始前夜、36円ならやるというIPP事業者が多かった。この水準なら投資判断に影響することはないだろう」と2年目もその成長性を疑わない。
だが一方で、円安による輸入パネルの価格変動や素材高、さらに価格算定の原価に反映されない地代や系統連系費のコスト負担が上昇傾向にある。価格の決定方法はあくまで原価積み立て方式。だが、最初の3年間は6%のIRRが保証されてもいる。委員会が原価に入らない項目をどう考慮するかで、価格修正の余地は残る。
一方、住宅用は補助金制度と連動するため、来年度の国や地方自治体による補助金単価次第となる。ただ、システムコストの下落率8%から単純試算すれば税込価格38〜39円という水準が現れてくる。
またマーケットで指摘されてきた容量別での価格区分の導入はほぼ消えた。一度、入れてしまうとどこまで細分化するのか、その際限性のなさ。あるいはコストが高い領域へ、手厚いインセンティブがのるため、間違いなくサーチャージが上がるなど。区分わけによるデメリットのほうが大きく、今後も1MWのシステム単価が算定基礎をなすことになる。
2年目を迎える全量買取り制度、価格決定に関しては波乱なく、少なくとも35〜40円のなかで決着がつくことになるだろう。