過熱しない⁉ 卒FIT争奪戦
活路は地産地消か
卒FIT設備由来の太陽光電力の価値を高めるには、集めた再生可能エネルギー電力の使い道も重要だ。『RE100』を宣言する企業などへの供給だけでなく、地産地消もひとつであろう。
自治体を支援するトラストバンクは、卒FIT設備の再エネ電力を好きな地域に寄付できるプラットホームを開発、19年9月に利用を開始した。地域新電力会社などと連携し、地産地消を支援する。現在12社の地域新電力会社が参画しているが、「自治体と協力し、広報活動や説明会を積極的に行う地域新電力会社は順調に契約を獲得できている」(同社エネルギー事業本部の前田功輔本部長)。
環境省によれば、50年までにCO2排出実質ゼロを目指す自治体が6月25日時点で101に及ぶ。ならば、環境価値のある卒FIT設備の太陽光電力は重宝されるはずだ。事実、東京都は契約する小売電気事業者の卒FIT設備由来の再エネ電力の買取り単価にkWhあたり1.5円を上乗せする事業を始める。買取った再エネ電力を都有施設で消費していく予定だ。
とはいえ、自治体の予算や人材にも限りがある。トラストバンクの前田本部長は、「自治体からは、地域新電力会社が存在しないものの、卒FIT設備の再エネ電力を活用したいという声もある」とし、同社は20年5月に小売電気事業者への登録を完了。必要に応じて電力供給などを含めた支援を検討していく構えである。