ウエスト、メガソーラー建設先行
7月11ヵ所18MW着工 年内100MW完工へ
カギは〝総合提案力〟
ウエストが先んじてメガソーラー建設に踏み切れたのは、今年7月に運用開始となるFIT(全量買取り式の固定価格買取り制度)を睨み、いち早く準備を進めたことが大きい。11年8月にEPC事業会社、「ウエストエネルギーソリューション」を立ち上げ、メガソーラー事業へ本格参入すると、コスト競争力を高める戦略を掲げ、体制づくりを急いだ。
FITの下に成り立つIPP(独立系発電)事業は、初期コストが事業の採算を決定づける。それだけに、建設コストをいかに抑えることができるかが、EPCの腕の見せ所となる。
吉川会長は、「太陽光発電所の建設で最もコストが嵩むのは部材と施工費。ただ、太陽電池モジュールのコストは大幅に下がっている。部材の調達力に加え、やはり施工費の低減が欠かせない」。
その同社が選択した施工法が杭打ち工法だった。先述のすべての案件において、中国の太陽光発電用架台大手パワーウェイが製造するスクリュー式の杭打ち式基礎を採用。吉川会長は、「コンクリート基礎に対して、施工費の低減が可能となった」とメリットを語る。
さらに同社は、土地の選定、そしてファイナンス領域まで手掛け、〝総合提案力〟の向上に努めた。IPP事業者が土地を所有し、建設資金をすべて賄うのであれば、EPC企業は建設のみを請け負えばよい。しかし実際は、IPP事業に参入したいが土地がない、あるいは資金不足などの理由で、二の足を踏む事業者が少なくないからだ。
特に、IPP事業者が金融機関からプロジェクトファイナンスによる融資を受ける場合、金融機関は事業計画から発電設備、設備を構成する部材や、その部材を製造した企業の財務内容まで調査する。それだけに、EPC企業は、IPP事業者が融資を受けやすいように発電所を設計しなければならず、IPP事業者に代わって金融機関と融資の交渉を行う場面も出てくる。
吉川会長は、「この事業の鍵はファイナンスだ。ただ、土地の選定ひとつとっても、実際成約に結びつく確率は1割もない。このほか、電力会社との系統連系やメンテナンス、設備認定など課題は多い」とし、「様々な企業と協業し、EPCとして一定の評価を得られるよう尽力していく」と語った。