米商務省、中国PVダンピング認定
関税率、最大250% 中国大手も31%超 最終決定は11月23日
米商務省は5月16日、中国の太陽電池メーカーのダンピング(不当廉売)行為を認定し、中国製の結晶シリコン型太陽電池に対して最大249.96%もの税率でAD(アンチダンピング関税)を課す予備裁定を下した。中国大手メーカーら61社にも31.14%以上の税率でADを課したため、中国の太陽電池メーカーをはじめ、関連団体、中国政府は強い憤りを表明している。最終決定は11月23日に持ち越されるが、太陽電池を巡って米中間の貿易摩擦が拡大している。
今回発表されたADの関税率は、トリナソーラーに31.14%、サンテックパワーに31.22%、カナディアン・ソーラーやインリー・グリーン・エナジー、LDKソーラーなど59社に31.18%、その他に249.96%の関税を課すというもの(詳細は別表)。今年3月20日に予備決定されたCVD(補助金相殺関税)と同様に、予備裁定通知の公示日から90日間遡って適用される見通しだ。
対象となる製品は、中国製の結晶シリコン型太陽電池セルと、同セルを用いて生産されたモジュールである。このため、中国製セルを中国国外でモジュール化した製品も含まれる。
ただ、中国国外で生産されたセルを、中国国内でモジュールに製品化したものや、結晶シリコン型以外の薄膜系などは適用を受けない。
米中巡るAD・CVD問題は、昨年10月ソーラーワールドアメリカら7社で構成されるCASM(The Coalition for American Solar Manufacturing)がITC(米国国際貿易委員会)と米商務省に提訴したことから始まった。
ただ先だって公表されたCVD予備裁定では、CVDの関税率がトリナソーラーへ4.73%、サンテックパワーに2.9%、その他に3.6%と低かっただけに、中国側も大きな抵抗を示していなかった。
しかし、今回の裁定に対して、サンテックパワーやトリナソーラー、インリー・グリーン・エナジーは「予備裁定は不当なもの」として声明を発表。中国商務省の沈丹陽スポークスマンは「米国の裁決は公正さを欠く」と強く批判した。
今後は、10月9日に米商務省が再び決定を下した後、ITCが11月23日までに最終決定する。そこで、中国勢のダンピングが認められると、11月30日にも中国メーカーに納付命令が発令される見通しだ。