独FIT大改定案 緩和修正で下院通過
タリフ、月次減額へ移行 10MW発電所、買取り除外
ドイツ連邦議会(下院)は3月29日、PV(太陽光発電)のタリフ(買取り価格)を大幅に引き下げるEEG(再生可能エネルギー法)の改正案を賛成多数で可決した。ドイツ環境省が2月にPVの導入引き締めを目的に議会に提出した異例の改正案は一部緩和されたが、4月1日以降に導入したPV設備はタリフが約20~30%引き下げられる。タリフの月次減額や、出力10MWを超えるPV発電所の買取り除外も修正されなかった。法案成立はドイツ連邦参議院(上院)の審議を経て5月末頃になりそうだ。
今回下院を通過したEEG改正の狙いは、ドイツ国内における年間のPV導入量は2.5〜3.5GWまでが適正で、これを基準導入量とし、一定の市場原理が働く状況をつくりながら実際のPV導入量を基準値に近づけていくことである。そこで、基準よりも導入量が増えた場合は減額率を増やし、基準を下回った場合は減額率を抑えるか、減額しない。あるいはタリフを引き上げる。
注目は、5月1日からタリフの月次減額方式を導入する点だ。まず、4月1日以降に設置されたPV設備は20〜25%減額する。小規模屋上設備(出力10kW以下)を約20%、中規模屋上設備(出力10kW超え同1千kW以下)と、大規模屋上設備(出力1千kW超え同10MW以下)、地上設備(出力10MW以下)は約25%である。そして、5月1日以降は、毎月1%ずつタリフを減額する。
減額率は、実際のPV導入量が基準量の範囲内であれば、月次1%、年間で11.4%とする。ただ、導入量が基準量を上回ったり、下回ったりした場合は、先述のとおり、それに応じて減額率を変える。なお、年間7.5GW以上導入された場合、最高で月次2.8%、年次29%とした。減額率の決定については、これまでどおり、議会で決める。
さらに〝全量買取り〟から〝一定割合買取り〟へ移行する。小規模屋上設備(出力10kW以下)では発電量の80%まではタリフで買取るが、残りの20%は買取りの対象から外す。中規模屋上設備(出力10kW超え同1千kW以下)も、買取り保証されるのは発電量の90%までとした。
ユーザーは10%もしくは20%の電力は売電できなくなるため、自家消費に回すか、あるいは、電力会社と相対契約を結んで電力卸売市場へ売電するほかない。ただ、大規模屋上設備(出力1千kW超え同10MW以下)と、地上設備(出力10MW以下)は、これまでどおり、全量買取る。
政府は、EEGによる助成策がない状況でも、PVが普及していく状況を目指し、今後も自家消費を促していく考え。2017年以降のFIT廃止も視野に入れている模様だ。