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福島県、林発違反者公表へ

福島県が、林地開発で処分を受けた事業者を公表する方針を示した。不適切な林発に歯止めをかける狙いだ。(本誌・土屋賢太)

福島県はこのほど、森林法に違反して中止命令や中止指示などの監督処分を受けた事業者を公表することを決めた。従来は公表基準がなかったため、2025年1月29日に林地開発許可制度の『福島県林地開発許可制度監督処分事務処理』の要領を改正。2ヵ月の周知期間を設け、25年4月に施行する。これによって県は、違反者の事業者名や住所、処分日、開発行為の目的、処分の根拠法令などの情報を、福島県森林保全課のホームページ上で公表する。

再生可能エネルギーの普及に伴い、林地開発許可件数が増加するなか、防災調整池などを設置しない違反事例が多発している。県は24年6月から8月にかけて県内の林地開発許可済案件202件に調査したところ、太陽光発電所開発で7件、土砂採取で3件のほか、2件を加えた計12件で違反行為を確認。違反事案12件のうち、早急に土砂流出防止措置などが必要な3件には中止を指示したという。

福島県森林保全課によれば、「規制強化ではなく、あくまでも不適切な林地開発を抑止するのが狙いだ。健全な再エネの普及拡大に繋がればよい」という。

県によると、すでに千葉県や岐阜県、宮城県、山口県では公表措置をとっているようだ。また、林野庁は林地開発許可制度の実効性を強化するため、違反者の公表に係る仕組みを新設する方針だ。

一方、県は、近接する複数の林地開発の合計が0.5‌haを超える場合における林地開発の一体性の判断基準を改正した。従来は具体的な基準を記載していなかったが、今回「前の開発完了から5年以内に次の開発を行う場合」という基準を設けた。林発違反者の公表と同時に施行し、林地開発の指導を強化していく方針だ。

このほか、これまで1回だった現地調査の回数を、必要に応じて複数回実施するようにして違反行為や不適切な開発を未然に防ぐよう努める構えだ。

林野庁は林地開発許可制度の実効性を強化するため、違反者の公表に係る仕組みを新設する方針である

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