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東電PG、系統連系の事前相談で1.9万件誤回答

再エネ発電所の系統連系の事前相談で、問題なく連系できる案件に対し、東電PGが「制限あり」などと誤って回答していたことが分かった。誤回答は1.9万件にのぼっており、波紋が広がりそうだ。(本誌・土屋賢太)

東京電力パワーグリッド(東京都千代田区、金子禎則社長)は2025年2月13日、系統連系の事前相談に対する回答に誤りがあったと発表した。事前相談は、発電事業者が再生可能エネルギー発電所の連系を申込む前に任意で電力会社に依頼するもので、電力会社は連系する送配電設備の熱容量などから簡易に検討し、連系の制限や追加工事の有無などを無償で回答してきた。東電PGは2月14日、経済産業省から報告徴収を受け、2月28日に事の経緯や間違いが生じた原因などを経産省に報告した。

それによると、太陽光発電の発電事業者から指摘され、24年12月に誤りがあることが発覚。東電PGが過去に遡って回答内容を調べたところ、19年9月から24年12月までの事前相談3万1313件のうち、1万8977件で回答に間違いがあることが分かった。

具体的には、連系に制限のなかった5669の案件に東電PGは「制限あり・連系可能量0kW」と誤って回答したほか、バンク逆潮流の対策工事を終えた配電網への連系に関しては対策工事後の連系可能量を示すべきところを、東電PGは1万3056の案件に「連系可能量0kW」と実態と異なる回答をしていた。そのうち4031件でこれらの誤回答が重複。それ以外には4283の案件にバンク逆潮流発生の有無の欄を空白のままで回答していた。いずれも高圧太陽光発電所や高圧蓄電所の発電事業者に提示されたもので、事業者の投資判断に少なからず影響を与えた模様だ。

現に、東電管内で太陽光発電所を開発してきた、ある再エネ事業者は、高圧太陽光発電所と高圧蓄電所の事前相談を東電PGに依頼したところ、50件以上に及ぶ誤回答があったという。

回答を誤った原因として、東電PGは社内で具体的な回答内容などを定めていなかったことを挙げている。一部の社員が誤った回答を続けていたようだ。

再エネの法律に詳しいベーカー&マッケンジー法律事務所の江口直明弁護士は、「あくまでも東電PGが無償で行ってきた簡易な事前相談なので、誤回答による事業者への直接的な損害はないだろう。真剣に投資を考える事業者は手数料を払って接続検討申込みをして詳細な回答をもらうはずである」としつつも、「事業者側が簡易に系統の状態を把握できるよう、東電PGは系統情報の公開をさらに進めるべきではないか」と見解を述べた。

なお、東電PGは、正式な連系申し込みに際しては詳細を詰める作業があり、全て正しい回答をしていたという。同社は専用窓口を設けて事業者からの相談を受けつけるとともに、回答時の社内ルールを再整備して再発防止に努める構えだ。

今回の問題は、東電PGの人為的なミスによるものである。電力インフラを担う大手電力会社には強い自覚が求められる。

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