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環境省、脱炭素先行地域 44エリアの進捗公表

18地域の事業に遅れ

環境省はこのほど、44の脱炭素先行地域を評価したところ、18地域で脱炭素化が計画より遅れていることを明らかにした。特に、北海道鹿追町や長野県松本市、栃木県那須塩原市、岡山県真庭市、兵庫県加西市などの9地域では事業の実現に課題があることが分かった。(本誌・土屋賢太)

環境省は、先行して民生部門の脱炭素化を進める地域を支援する『脱炭素先行地域づくり事業』の一環で、脱炭素先行地域の進捗を評価し、2025年2月27日に結果を公表した。22年度に採択した44地域を対象に24年秋から25年2月にかけて調査し、再生可能エネルギー設備と省エネルギー機器の導入状況や二酸化炭素の排出量削減状況のほか、地域の課題解決への貢献度などを確認。そのうえで、事業が概ね順調に進んでいる地域と、事業の進捗が遅れている地域、事業の実現に課題がある地域に分類した。

事業の進捗が遅れている地域は、岩手県宮古市、久慈市や栃木県宇都宮市・芳賀町、愛知県岡崎市、滋賀県湖南市、京都市、山口市、宮崎県延岡市、沖縄県与那原町の9地域で、環境省は計画の実現に向けた方法やスケジュールの見直しを求めた。

事業の実現に課題のある地域は、北海道鹿追町、奥尻町や宮城県東松島市、栃木県那須塩原市、さいたま市、長野県松本市、滋賀県米原市、兵庫県加西市、岡山県真庭市の9地域で、環境省は計画の抜本的な見直しや代替策の必要性を検討した。

その結果、奥尻町、東松島市、さいたま市、米原市の4地域は、事業の実現可否が明らかになるまで時間がかかることから〝様子見〟としたが、鹿追町、松本市、那須塩原市、真庭市、加西市の5地域には、計画の大幅修正も含めて再度評価することにした。

なお、環境省は、資材価格の高騰で採算性が悪化した事業などは計画を縮小するとして、交付金の計画額を60億円程度削減している。

環境省大臣官房地域脱炭素事業推進課の担当者は、「中間評価は、脱炭素化の進捗率や地域課題の解決状況などを確認するとともに、課題があれば、原因を明確にして修正していくためのものである。今回、再評価の対象となった5地域には、実現性の向上に努めてもらいたい」と述べた。

なお、次回の中間評価は、23年度に採択された脱炭素先行地域が対象となる予定で、25年度内に公表される模様だ。

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