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中国太陽光導入量35%増もパネル高騰で建設遅延

中国の第1四半期における太陽光発電の導入量が前年同期比35%増となり、過去最高の導入が期待されている。だが、順調に伸びるかは不透明だ。

中国国家エネルギー局が2021年4月27日に明らかにした。累計導入量はこれで258.5GWに達したことになる。省別に累計導入量を見ると、山東省が23.8GWで最も多い。

中国は20年12月、30年までに太陽光発電と風力発電の導入量を1200GWにまで引き上げる方針を掲げた。20年末時点で両者の合計導入量は約530GWだから、中国は今後10年で670GWもの再エネを新たに導入していくわけだ。内訳は明確にしていないようだが、いずれにせよ、年間数十GW規模の太陽光発電の導入を継続して促したい考えである。中国太陽光発電産業協会は、21年の年間導入量を、過去最高の55~65GWと予想している。

21年は1200GWの目標達成に向けた最初の1年だ。その点、第1四半期(1~3月)に前年同期比35%増の5.33GWに及ぶ太陽光発電が設置されたことは幸先のよいスタートを切ったように見える。第1四半期の導入量が3.95GWだった20年は年間導入量が48GWまで伸びたからだ。

だが、万事が順調でもない。中国の太陽光発電関連企業の社長は、「多くの案件で進行が遅れている」と語る。というのも、太陽光パネルを中心に設備費が高騰しているためだ。某資材メーカーの担当者は、「中国国内の太陽光パネルの卸値は、20年は一時Wあたり1.3元(20.8円)程だったが、現在は2元(32円)を超えている」と明かす。それゆえ、発電事業者が資材の価格が下がってから購入しようと判断し、建設が先延ばしになっているわけだ。

世界最大の市場である中国の動向次第では、日本に輸出される部材の価格が高騰したり、納期が延びたりする恐れもある。中国市場の動向を注視していく必要がありそうだ。

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