キャプテックス、蓄電設備の生産能力10倍へ
キャプテックスが蓄電設備の生産能力を10倍超の年産100MWhへ増強する。定置用リチウムイオン蓄電設備で市場占有率10%を目指す。(本誌・岡田浩一)
化学商社、長瀬産業の100%子会社で、定置用リチウムイオン蓄電設備を製造するキャプテックス(愛知県岡崎市、黛洋平社長)は2021年7月28日、蓄電設備の生産を増強すると発表した。蓄電設備を製造している愛知県の岡崎工場の敷地内に建屋を2棟新設し、生産ラインを導入する。すでに着工済みで、生産能力を現在の年間約8MWhから22年度中に同約100MWhまで高める計画だ。
同社は、20年度から大手ハウスメーカーより住宅用蓄電設備の製造を受託し、21年3月には長瀬産業と村田製作所が共同開発した産業用蓄電池の製造に着手。同社の黛洋平社長は、「受託生産量が急増したうえ、新製品の出荷増を見据えて、増産を決めた」と話す。
同社は17年4月から20年3月まで長瀬産業のブランドで販売していた住宅用蓄電設備の製造を手掛けてきたが、その際に認証機関との交渉を通じてノウハウを蓄積。設備の組み立て以外に評価サービスなどを提供し、製品開発にも携わってきた。
一方、長瀬産業は、正極や負極材、電解質などの蓄電池関連材料をメーカーに納めている。蓄電設備の施工会社へ出資したほか、蓄電池の再使用事業にも着手している。長瀬産業情報通信・エネルギー事業室エネルギーシステム部の兼子毅部統括は、「蓄電池に関して、材料提供に始まり、製造や評価、再使用までグループとして一貫で携われるのが我々の強み」とし、中期経営計画で掲げる持続可能な事業の創出に向けて蓄電池事業に力を注ぐ構えだ。