台風19号被害甚大
示された分散電源の価値
住宅用太陽光、各地で貢献
ともあれ、長引く停電の下では、住宅用太陽光発電設備の貢献度は大きい。
長野市豊野町の米木善登さんは、高台にある自宅が水害の難を免れたため、出力5.5kWの太陽光発電設備を活用した。「説明書を見ながら自立運転機能に切り替えた」と話す米木さん。13日朝から4日間続いた停電のなか、「携帯電話やバッテリー式の電灯を充電したほか、電力が急に落ちる恐れはあったが、パソコンも繋いで情報収集した」(米木さん)。
台風15号と19号で立て続けに停電に見舞われた千葉県君津市でも太陽光発電設備が役立っていた。
同市内に住む平松四男さん宅は、台風15号で2週間、19号で3日間停電が続いたが、平松さんは、「15号の時は、日中に太陽光発電を利用し、夜間は発電機を回して冷蔵庫などを動かした。不自由はしなかった」と当時を振り返る。台風19号の時に在宅していた娘の加奈子さんは、「東日本大震災の時に太陽光発電設備を使えなかったので、(自立運転の)やり方を調べてあって、今回は使うことができた」と話す。
平松さん宅の近所に住む勝木紳一さんは、自宅の太陽光発電設備と蓄電容量7.2kWhの蓄電設備、さらに発電機を使用し、「日中は太陽光発電を、夜は蓄電設備と発電機を使って冷蔵庫の電源を確保した。台風15号の際は停電が2週間続いたが、食べ物を腐らせてしまうことはなかった」と笑顔で話す。
一方、住宅が浸水しつつも、住宅太陽光発電設備が無事だった例もあった。
静岡県函南町に住む岩倉すみさんは、自宅が床上浸水の被害を受けたが、水位は地上から1m弱にとどまり、室内に設定していたPCSが無事だった。
長野市豊野町の廣田正徳さん宅は1階が1.6m程まで水没したが、1階の天井付近に据えつけていたPCSから配線に至るまで水に浸からなかった。廣田さんは、「いまは知人のアパートに寝泊まりしているので(太陽光発電設備は)使っていないが、今後生活を再建するなかで活用したい」と語った。
水害のリスクも考慮すると、PCSをはじめ住宅用エネルギー設備は極力高い位置に設置する方がよいのかもしれない。