日出町メガソーラー問題泥沼化
町議も民事訴訟を検討
大分の再エネ会社、日出電機(渡邉浩司社長)がメガソーラー建設に反対していた町議会議員らを刑事告訴した問題で、議員側も、逆に日出電機を提訴する考えを示した。
日出町メガソーラー問題は、日出町真那井区に出力3MWと2MWの太陽光発電所の開発計画が持ち上がった2014年に始まる。両発電所のEPC(設計・調達・建設)を受注した日出電機が発電事業者と住民説明会を行ったところ、強い反対に遭ったのだ。
反対の急先鋒に立ったのが真那井区に住む工藤健次議員だった。「両発電所が小高い丘の傾斜地に建設されると、丘の下の住民が土砂崩れの危険に晒される」とし、調整池に雨水をためて1.5㎞南の別府湾まで水を移送するよう訴えた。
日出電機は、排水のために別府湾に続く2本の水路のうちいずれかを利用したいと申し出て計8回説明会を開催したが理解を得られなかった。結局日出電機は1基目を16年9月に、2基目をその1年後にそれぞれ完工。排水は、約9000tの貯水量を持つ調整池を1億円弱かけて整備し、水路に少しずつ流すことにした。
すると、2基目の稼働後から、工藤議員らが雨天時には発電所構内に複数回侵入し、調整池のバルブを閉めて水路に水を流させない行為を始めた。そこで、日出電機は9月18日、工藤議員や同町真那井区の小石逸雄区長ら4名を建造物侵入の容疑で杵築日出警察署に刑事告訴したのである。
これに対し、工藤議員は、「水を流したら危険なので正当防衛のようなもの。そもそもこの発電所の建設を地元は許可していないのだから、水を流すこと自体おかしい」と強調、さらに、「日出電機は申請の不備や違反が多い。水路は修繕すると約束していたのに履行していない」として民事訴訟を起こす考えを明かした。
工藤議員の主張は、町が定める開発行為等指導要綱に「事業者または工事施行者は開発行為の内容、効果等について地元関係者に周知し、調和を図らなければならない」とあるにもかかわらず、「日出電機は住民の同意がないまま建設したため、条例違反だ」というもの。
一方の日出電機の渡邉社長は、「用地は非農地証明を取得済みで、開発に際し林地開発許可など特段手続きが必要のない土地だ。指導要綱に関しても、住民が1人でも反対したら建設不可という意味ではない。反対しているのは一部の方だ」と説明する。