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NTTアノードエナジーら9社が再エネファンド設立へ

再生可能エネルギー発電事業などを手掛けるNTTアノードエナジーは2021年9月1日、三菱UFJ銀行や大阪ガスら8社と再エネファンド創設に向けた事業運営会社を設立した。再エネ発電所の開発から電力消費まで一気通貫の仕組みを構築し、再エネの普及拡大を目指す。(本誌・楓崇志)

コアパートナー3社で記者会見も開催。左からNTTアノードエナジーの高間徹社長、三菱UFJ銀行の半沢淳一頭取、大阪ガスの藤原正隆社長(提供:三菱UFJ銀行)

NTTアノードエナジー(東京都千代田区、高間徹社長)らは、太陽光発電や風力発電など再エネ発電所に投資するファンドの創設に向け、同日付で事業運営会社、『Zエナジー』を設立。資本金は2億円で、NTTアノードエナジー、大阪ガス、三菱UFJ銀行がファンド全体を統括するコアパートナーとして、常陽銀行、東京海上日動火災保険、百五銀行、三菱重工業、三菱総合研究所、ゆうちょ銀行がパートナーとして資本参加した。

今回の事業では、ファンドを通じて再エネ発電所を開発・取得するだけでなく、電力小売りを手掛けるコアパートナーを介し、生み出した再エネ電力を資本参加企業などに環境価値とともに供給していく点が特徴だ。

事業を主導した三菱UFJ銀行の親会社である三菱UFJフィナンシャル・グループは、21年5月に『MUFGカーボンニュートラル宣言』を発表するなど脱炭素経営に積極的だ。再エネの知見を持つ企業や金融機関と再エネ電力の調達に動くことで、自らの脱炭素化とともに関係先などの脱炭素化支援にも活かしていく構えのようだ。

まずは10月に第1号ファンドを立ち上げる予定だ。「最初はファンドとしての実績を積みたい」(NTTアノードエナジーグリーン発電事業本部の南方雅道担当課長)とし、投資家を募りつつ、稼働済み発電所を含めたFIT案件を中心に取得していく。特定卸供給を活用し、環境価値を付与した電力小売りも行う。300億円程度で設立し、資産規模を1000億円以上に拡大していく見通しだ。

南方担当課長は、「2号ファンド以降は投資対象を拡げ、〝非FIT〟発電所のほか、VPP(仮想発電所)関連案件や水素発電所なども加えたい。再エネ市場の裾野の拡大にも繋げられれば」と語る。

近年、脱炭素経営を標榜し、再エネ電力を求める企業・団体が増えた。今回のような一体的な事業構築は有効な手段の一つとなりそうだ。

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