信州タケエイ、太陽光パネルリサイクル事業開始
廃棄物処理を手掛ける信州タケエイ(長野県諏訪市、雨宮栄城社長)は2021年12月15日、太陽光パネルのリサイクル事業を開始した。破損して発電しないパネルを回収し、廃棄とリサイクル部品に分ける作業を自社の廃棄物処理工場内で行う。主にEPC(設計・調達・建設)業者や太陽光パネルメーカー、ゼネコンや工務店からの受注を想定している。
同社は4つの工程を設けた。第一工程はケーブルや端子の取り外しである。ここは手作業で行う。第二工程はアルミ枠の取り外し。未来創造製のフレーム外し機で、パネルの中心を固定し、パネルの外側のアルミ枠を左右上下方向からのアームで外側にずらして外す。第三工程はガラスの剥離だ。未来創造製の手動式ガラス剥離機にかけ、直径約2~3㎜のステンレス製放射剤をパネルのカバーガラスに毎分約20㎏当て、粉砕しながら剥離する。そして最終工程は分類である。ガラス剥離機にガラスふるい機をつなげて搭載し、自動で大中のガラス片と粉状のガラス片、放射剤に分類し、放射剤は回収して再度使用する。
同社は今回、ガラス面を剥離する工程に手動によるショットブラスト方式を採用した。人の手で操作し、角度や当てる場所を調整できるため、災害の影響などで変形したパネルのリサイクルが可能になったという。作業の習熟度にもよるが、パネル1枚あたり約4分で処理し、全工程を約10分程度で行う。
同社環境部の野澤仁部長は、「それぞれの工程に人を配置し、流れ作業で行うなど効率化を図ることで月3000枚の処理を目指す。また今後受注が増えれば、現在は1台ずつ導入した機械を増やす予定だ」と意欲的である。
工程で出るコネクタや端子、アルミ枠はスクラップに、大小のガラス片は防犯砂利などの土木資材やガラス製品に再生し、バックシートや封止剤は焼却するが、その際の熱を回収して利用する。
今事業に取り組んだ理由について、野澤部長は「FITの売電期間が終了した後に、見込まれる太陽光パネルの大量廃棄を見据えた形だ」と語った。