伊坂電気、ネパールで太陽光付きEV充電ステーション稼働
太陽光発電所のEPCを手掛ける伊坂電気(大阪市、西尾潤一社長)は2021年12月、ネパールで建設していた太陽光発電設備付きEV(電気自動車)充電ステーションを完成させた。コロナ禍の影響などで足掛け3年の事業となった。
同社が建設した太陽光発電設備付きEV充電ステーションは、出力154kWの太陽光パネル、100kWのパワーコンディショナ、蓄電容量360kWhの蓄電池に、出力80kWの急速充電器2台、同40kWの急速充電器3台、同7kWの普通充電器20台で構成される。電動バイクやタクシーなどが使える充電コンセント口も24口用意した。
同社は18年5月にネパール政府からルンビニに建設する太陽光発電設備付きEV充電ステーションのEPC業務を受注。公共交通の電動化・脱炭素化を目的とした事業で、同年10月に着工し、当初は19年3月末までに完工する予定だった。
だが、建設予定地のルンビニが仏陀の生誕地として世界遺産に登録されていたために太陽光発電設備の設置場所が見直され、工事が中断。再設計し、19年10月に再開したものの、20年年明けからはコロナ禍が発生し、3月からネパール全土でロックダウン(都市封鎖)が実施されるなど再び中断を余儀なくされていた。
同社の小笠原忠好工事部長は、「ネパール政府からの要望もあり、21年9月から工事を再開させた」と話す。まずは現地の作業員に遠隔で指導しながら工事を進めていたが、11月末からは日本の技術員が現地入りし、最終調整や確認作業などを行い、完工させた。12月中旬から試運転を始めており、12月21日には関係者を招いた完成式典も開催された。
小笠原部長は、「工事中断中に現場に置いたままだった電線が盗まれるなどのトラブルにも見舞われたが、再開してからは予定通りに進められた」と振り返りつつ、「再生可能エネルギーでEVを動かすことを目的とした珍しい事業だった。無事に完成できて良かった」と語る。