ツブ、太陽光で持続可能なイチゴ栽培法確立
営農用太陽光発電などを手掛けるツブ(東京都品川区、佐藤晃一社長)は2022年1月26日、埼玉県深谷市内で太陽光発電設備を設置したハウスで栽培した夏イチゴを発売すると発表した。首都圏近郊から新鮮なイチゴを通年供給できる仕組みを構築した。
同社は、ハウスの断熱・遮熱性を高め、空調設備を導入したうえ、室内にLED照明を設置。気象の変化に影響されず通年作物を栽培できる環境を築いた。
同社は、高付加価値を持つ作物として、イチゴを栽培。夏は生食用、それ以外は真空凍結して販売する予定だ。再生可能エネルギー電力で栽培することで脱炭素化の価値も加えた。 ハウス内の消費電力は、直流出力13kWの太陽光発電設備による再エネ電力で賄う。ハウスの屋根上に出力100Wのサニックス製パネル130枚と、出力5.5kWのパナソニック製PCS(パワーコンディショナ)2台を設置して自家消費するほか、Jクレジットを活用して不足する電力も実質再エネ電力として使用する。
21年9月にはイチゴの実証栽培を終え、11月に卸先と契約を締結。22年7月から『エコベリー』の商品名で生鮮物を販売する。ハウス1棟の年間収穫量は1tを見込む。
今回のハウスはものづくり補助金を活用して21年に建てた。同規模の太陽光発電設備を搭載したハウスをさらに2棟建設する。
同社は18年の設立後、太陽光発電設備を導入した農業施設を建設し、東京都瑞穂町ではハウス7棟建てでシイタケを栽培している。イチゴと比較して電力消費が少ないため、余剰電力を東京電力に1kWhあたり8円で売電する。
同社の佐藤社長は、「農薬や化学肥料を使用せず、通年栽培できる生産法を持続可能な形で確立した。今後は無農薬の食用バラ栽培を計画している」としたうえで、「作物の販売単価が高ければ、投資回収期間も短縮できる。我々が農業を手掛け、太陽光発電設備を第三者に所有してもらう事業モデルも検討している」と語った。