日本貿易保険、再エネ・省エネ向け融資保険創設
政府系金融機関である日本貿易保険(東京都千代田区、黒田篤郎社長)は7月17日、海外における再生可能エネルギーや省エネルギー関連事業に対する融資保険を創設した。日本企業の海外展開を支援する狙いだ。
同社がこのほど創設したのは、『環境イノベーション保険』。再エネや省エネに関する案件のほか、水素関連技術や系統安定化関連技術を活用した案件なども適用対象となる。
保険対象は、戦争や内乱、テロ、輸入制限・禁止、自然災害、支払国起因の外貨送金遅延など不可抗力なリスクである『非常危険』と、契約相手方の破産や不払いなど契約相手方の責任に帰すリスクである『信用危険』で、海外での取引で償還不能となった貸付金や債券の損失をカバーする。対外取引における物損以外のリスクをヘッジする貿易保険である。
具体的な保険種は、輸出代金などの融資に対する『貿易代金貸付保険』と、海外事業への融資などに対する『海外事業資金貸付保険』だ。金融機関などが使える保険で、特に後者は海外における再エネ発電事業への融資の際に活用できるものだ。
今回創設した環境イノベーション保険では、通常の融資保険と比べて信用危険に関する付保率を変更。付保率とは、保険金額の保険価額に対する割合のことで、保険価額に付保率を乗じた額が保険金額、いわゆる保険金の最高限度額となる。
非常危険に関する付保率は通常の融資保険も100%だが、信用危険に関する付保率は貿易代金貸付保険が95%、海外事業資金貸付保険が90%。環境イノベーション保険ではいずれも97.5%に引き上げた。金融機関にとって、付保率の上昇はリスク低減につながるため、融資しやすくなる可能性がある。
同社企画室の竹内幹雄政策連携グループ長は、「再エネや省エネ案件に対するニーズは国際的に拡大しており、日本企業により関与や参画してもらうために創設した。信用付保率の引き上げで、案件組成の円滑化につながれば」と話す。