山口大学、EVでエネルギー管理の実証開始
山口大学(岡正朗学長)は2022年2月よりEV(電気自動車)を用いたエネルギー管理の実証実験を開始した。既設の蓄電設備と組み合わせて再生可能エネルギー電力を有効に活用する。実証実験の期間は23年3月までの1年間だ。
実証実験では、山口県岩国市の総合庁舎にある既設の蓄電容量15.4kWhの東芝ITコントロールシステム製蓄電設備と同40kWhの日産自動車製EV1台、Ⅴ2H(車から家庭への電力供給)機器1台を使う。EVと既設の蓄電設備を組み合わせた遠隔制御の充放電で庁舎に再エネ電力を供給、電力代削減効果や公用車としてのEVの稼働状況などを検証する。
山口県は15年に庁舎へ出力10kW分の京セラ製太陽光パネルと同10kWの東芝ITコントロールシステム製PCS(パワーコンディショナ)1台を設置し、設備が生み出す再エネ電力を全量自家消費してきた。今回の実証実験を機に、蓄電設備を組み合わせて有効に活用するという。
実証実験は、21年4月に発足した山口県の産官学プロジェクト、『分散型エネルギー活用実証プロジェクト』の一環で始動した。同プロジェクト代表の山口大学大学院技術経営研究科の福代和宏教授は、「ガソリン車と混在している現在はEVを蓄電池として活用できないが、今後EVが普及すれば、その課題は解消するだろう」とし、「山口県は化石燃料の消費量が最も多い県。脱炭素社会の実現に向けてEVを増やしたい」と語った。