ニシム、中古パネルと蓄電設備で実証開始
九州電力100%子会社のニシム電子工業(福岡市、小野丈夫社長)は2022年2月28日、自社の蓄電設備と中古の太陽光パネルでエネルギー管理の実証実験を開始すると発表した。中古パネルで発電した再生可能エネルギーを、蓄電設備を介して自家消費できるか検証し、蓄電設備の販売に繋げる狙いだ。
実証実験では、自社製の蓄電設備と太陽光発電設備を自社工場に設置し、両設備を接続して遠隔制御で余剰電力を充放電する。蓄電設備は蓄電池ユニットと蓄電用PCS、制御装置を一式20フィートコンテナに収納したもので、中古パネルは情報通信商社のサンテレホンから買取った出力270Wの中・インリー製パネルを使う。
同社は佐賀県吉野ヶ里町内の自社工場の屋根上約400㎡に中古パネル144枚を設置し、直流出力を計39kWとし、交流出力は中・ファーウェイ製PCS20kW機1台と富士電機製PCS21kW機1台で計41kWとした。
さらに、出力50kW、蓄電容量170kWhの蓄電設備と、20年11月に設置した同90kW、同180kWhの蓄電設備と併用し、蓄電容量は計350kWhとした。
同社蓄電事業準備室蓄電事業準備プロジェクトの河野司グループリーダーは、「発電した再エネ電力は全量自家消費せず、敢えて余剰電力が出るようにして蓄電設備での充放電を検証する」と述べた。設備の設置工事は22年3月末に完工し、4月に稼働する計画だ。
同社は20年7月に蓄電事業準備室を設立。蓄電制御事業を開始しつつ、中古パネルの大量廃棄を見据え、今回の実証実験を開始した。同プロジェクトの高月邦吉主任は、「再エネ電力を安定供給するには蓄電設備が必要だ。検証後は蓄電設備を拡販したい」と語る。