東芝、タンデム型太陽電池の効率向上を実現
25年の実用化に目途
東芝は2022年10月6日、タンデム型結晶シリコン太陽電池の開発で透過型亜酸化銅層の発電効率を高めることに成功した。前回から1.1ポイント高い9.5%を達成し、25年の実用化に目途をつけた。
同社は2つの発電層を組み合わせて発電効率を高めるタンデム型太陽電池を開発しており、結晶シリコンと亜酸化銅を採用。21年12月には透過型亜酸化銅層単体で世界最高となる8.4%の発電効率を達成していた。
今回は、発電層内の電子と正孔がセル横部の壁に当たって消失することによって発電量が損なわれることを発見した。そこで3mm×3mmのセルを10mm×3mmに大型化することで発電効率の向上に成功した。
同社研究開発センターナノ材料・フロンティア研究所トランデューサ技術ラボラトリーの山本和重フェローは、「セルの大型化も並行して進めており、電子や正孔が横方向に大きく動いた痕跡を発見した」と経緯を話す。
同社は現在、40mm×42mmのセルで、透過型亜酸化銅層の発電効率を8%程度まで高めることに成功しており、今後は10%まで向上させつつ、セルを125mm×42mmまで大型化する計画だ。山本フェローは、「現状の課題をすべて解決すると、透過型亜酸化銅層単体でセル変換効率を19%まで高めることができる」と語る。