東急不動産子会社、〝非FIT〟再エネを活用した法人向け電力供給サービス開始
東急不動産子会社で再生可能エネルギー関連事業を手掛けるリエネ(東京都渋谷区、西田恵介社長)は、デジタルグリッドと法人向けの電力供給サービスを開発し、2022年11月1日よりサービスの提供を開始した。〝非FIT〟の再エネを活用するメニューも揃え、事業拡大を狙う。
今回のサービスは、小売電気事業者であるデジタルグリッドの取次店として法人向けに電力を供給するというもの。契約期間の縛りがなく1ヵ月前に連絡すれば違約金なしで解約できるほか、JEPX(日本卸電力取引所)価格連動型の従量課金制を採用した点が特徴だ。
同社は、標準プランに加え、非FITの再エネ電源を使った再エネプランや、非化石証書を付与する実質再エネプランも揃えており、同社エネルギーソリューション部営業企画グループの山田可奈子係長は、「そもそも〝電力難民〟の問題をきっかけに開発した」と経緯を説明する。
22年春以降、燃料費高騰などの影響で新電力会社の撤退や大手電力会社の新規契約停止が相次ぎ、法人のなかには電力の契約先が見つからない〝電力難民〟が発生し、セーフティネットである送配電事業者による最終保障供給を受けざるを得ない企業も増えていた。
ここに来て、大手電力会社が新規契約の受付再開を発表しているものの、実際の電力供給は23年4月以降になる場合もある。そこで、同社は最終保障供給契約から抜け出しつつ、次の契約が始まるまでの一時的な電力供給を受けられるサービスを開発したという。
ただ、同社としては期間限定で終わらせたくはない。ゆえに再エネを差別化要因としたわけだ。東急不動産はこれまでに開発中を含めて85件1338MWの再エネ発電事業に携わっており、そうした再エネ関連事業の知見や実績を活かす新会社としてリエネを21年9月に設立していた。
非FITの再エネ電源を使った再エネプランでは、主にコーポレートPPA(電力売買契約)による再エネ電力供給を組み合わせる方針だ。活用する再エネ電源は新規開発しているほか、低単価のFIT案件のFIP(フィード・イン・プレミアム制度)への切替えも視野にあるようだ。
同社エネルギーソリューション部営業企画・ソリューショングループの高橋茂昭部長・グループリーダーは、「今回のサービスは顧客接点の始まりとなる。継続してもらえるよう再エネで脱炭素化を支援したい。再エネ電源のマッチングサイトも構築中だ」としたうえで、「電力小売りを礎としつつ、自治体や企業などが抱える課題の解決に繋がるサービスも提供していきたい」と意気込む。
11月1日からサービスを開始し、まずは標準プランの供給から始めた。当面はデジタルグリッドの取次店としてサービスを提供するが、小売電気事業者登録の申請作業も進めており、23年4月以降を目途に自らのライセンスをもとに電力供給していく予定だ。