Inside News

三菱電機、高効率直流変換器盤を開発

施設内の直流配電に前進

三菱電機は2022年11月17日、SiC(シリコンカーバイド)パワー半導体素子を採用して電力変換効率を高めた直流変換器盤を開発したと発表した。自社の技術実証棟で実証試験を開始し、25年以降の実用化を目指す。

直流配電は、既存の交流配電と比べて電力変換損失が小さいとされている。特に太陽光電力や蓄電池にためる電力が直流ゆえ、再生可能エネルギーの普及とともに直流配電の利用が注目されてきた。

ただ、直流配電を施設に導入すると、配電盤に接続する空調設備や照明などの機器に対して最適な電圧を出力する電力変換器を多数配置する必要がある。それゆえ配電システムを小型にしなければならないという課題があった。

そこで同社は、SiCパワー半導体素子を用いて電力変換器の効率を高め、回路部品を小型化することで複数の変換器を一つに格納した直流変換器盤を開発。さらに施設内の複数の設備に応じた最適な電圧を供給する電圧給電回路も開発した。

従来品と比べ変換器盤の体積を20%、質量を36%それぞれ低減したうえ、直流から直流への電力変換効率を従来品より1.5ポイント程度高い98.6%に向上させ、交流から直流への変換効率も98.5%まで高めた。最大電圧を740Vへ高電圧化したことで、従来品で生じていた電力損失の45%を削減したほか、新型の電圧給電回路で供給電圧を最適化したことで、既存の交流配電と比べ受配電損失を20%低減することに成功したという。

同社先端技術総合研究所の中武浩電力変換システム技術部長は、「損失を抑え、熱の発生を低減できたことで、冷却装置を小型化することができた」と語る。

同社は今回の設備を自社のZEB(ネット・ゼロ・エネルギー・ビル)関連技術実証棟に設置し、22年11月より自立運転時の安定性や設備の受配電効果を検証する。

DCマルチ変換器盤

Inside News を読む

一覧を見る