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東急建設、CECとバーチャルPPA締結 建設現場で活用へ

建設現場で活用へ

準大手ゼネコンの東急建設は2022年12月、〝非FIT〟太陽光発電所開発のクリーンエナジーコネクト(以下CEC)とバーチャルPPA(電力売買契約)を締結した。国内で初めて建設現場での使用電力にバーチャルPPAを活用する。

同社はCECが非FITで開発・所有する45ヵ所計4MWの低圧太陽光発電所が生み出す環境価値を買取る。契約期間は20年で、発電所は23年3月から順次運転を開始する予定だ。年間で約440万kWh分の環境価値を受取る見込みで、建設現場の使用電力の再生可能エネルギー化に活用する。これは同社が建設現場での電力使用に伴う二酸化炭素排出量の約2割に相当するという。

バーチャルPPAは環境価値のみを長期契約で取引するため、残った電力はCECが卸電力取引所に売却する。バーチャルPPAの取引では、双方で取り決めた固定価格と市場に売電した価格との差額で決済する。

バーチャルPPAは中長期的に市場変動で決済価格が上昇するリスクなどもあるが、同社価値創造推進室サステナビリティ推進部の弘瀬哲也サステナビリティ推進グループリーダーは、「現在の市況などを踏まえながら、将来的に再エネ証書の価格が上がる可能性があるとも考えた」と話す。経済産業省に商品先物取引法上のデリバティブ取引に当たらないことも確認したという。

同社は21年に30年までの長期経営計画を策定し、脱炭素を軸の一つに据えた。同時期に『RE100』にも加盟し、30年までに事業活動における使用電力を全て再エネ化する目標を掲げていた。

同社の使用電力の多くは建設現場であることから、まずは再エネ比率の高い電力料金プランに切替えてきた。だが、「高圧受電の現場は順調に切替えられているが、低圧受電は難しかった。証書も選択肢だが、追加性のある電力を調達したいという思いもあって、PPAの検討を始めた」(弘瀬グループリーダー)。

当初は環境価値付き再エネ電力を調達するフィジカルPPAも検討したようだが、建設現場は入れ替わりも激しく、使用量も変動する。そこで建設現場の再エネ化に対応しやすいバーチャルPPAを選んだという。

弘瀬グループリーダーは、「RE100を前倒しで実現しつつ、さらなるPPAも検討できれば。当社が脱炭素化していくうえでは電力だけでなく、電化を含めた燃料転換も重要。引き続き脱炭素化に取り組んでいきたい」と語った。

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