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新虎興産、太陽光パネル再資源化技術を開発

超高圧水活用

処理後の太陽光パネルの表面(右)と裏面

変電機器の撤去工事を請け負う新虎興産(大阪市、木村高士社長)は2023年1月、太陽光パネルの再資源化処理技術を開発したと発表した。超高圧水でパネルの部材を分離し、ガラスなどの再資源化を目指す。

同社は『ウォータージェット工法』を活用する。水に圧力をかけて超高圧水を噴射し、水力で鋼材を切断したり、有害塗膜を剥離したりする。無火気ゆえ安全で、二酸化炭素の排出量は少ないようだ。

同社は、同工法で太陽光パネルを解体したところ、ガラスとセルの分離に成功した。パネルの裏面に超高圧水を吐出してバックシートと封止材、太陽電池セルを剥離し、強化ガラスを分離したという。

同社の浜中憲二常務取締役は、「ガラスメーカーからガラスの純度が高く、再資源化できそうだと評価してもらった」と語り、続けて「排水処理まで行うため、環境負荷が少ない」と特徴を述べる。

同社は中間処理業者として電力会社が廃棄する変電機器や電線の破砕処理を手掛け、12年に太陽光パネルの処理を始めた。21年秋にはウォータージェット工法を用いる技術開発に着手し、22年2月に特許を取得。分離後のセルに含まれる銀の含有量や、排水の質を分析し、実用化が見込めると判断した。

浜中常務は、「5月にも稼働する山口県の新工場に試験設備を置き、実証試験を本格的に始める。海外製を含めて複数のメーカーの製品を試し、水の使用量低減や処理速度の向上を図り、25年頃の実用化を目指す」と話す。

同社は量産体制の確立に向け、ウォータージェット装置製造のスギノマシンと自動化装置を開発していく。

浜中憲二常務取締役

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